2020年10月29日

天才科学者の実験室(ブログ その148)

今、新型コロナウイルス(COVID(コビット)-19)感染症で世界中が緊急事態を迫られています。
コビット-19は、まだその性質がわからないことだらけ、得体が知れないと恐怖がよけいつのります。それでも、半年近くたち、世界中の科学者が、必死になって研究し、その性質を解明しています。相手が分かってくれば、どうして克服するかもわかってきて、どうやってやっつけるか、どうやってうまく乗り越えるか、ということが分かってくるのです。
人類の歴史を振り返ると、私達の先輩たちは、いろいろな困難に遭遇し、それを克服してきたのですね。私たちはわからないことを理解し、不可能なことを可能にするべく頑張ってきたのです。それが科学です。

この本を開くと

「2200年も前に地球の大きさを測った人がいたんだよ」
「エ?どうやって?」

という言葉が目に入ります。そんなことできるはずがない、そう思うかもしれません。出来ない、ではなくどうしたらできるかな?と考えることが科学なのです。そうすると、道が開けてくるのです。こうして、たくさんの科学者が、わからないことに挑戦し、いろいろな発見をしてきました。

こんな質問から始まるこの絵本、そのタイトルは、「天才科学者の実験室」です。

「実験室」なるほど、これがいいですね。いかにも科学者がそこでどんな風にして、わからないことに挑戦して、そして明らかにしてきたか、そんな現場の雰囲気が伝わるからです。みてみると、

地球をはかる天と地は同じ法則目には見えないものを見つける地球の変化がなぜわかる?星はなぜ光る?宇宙のことがどうしてわかる?

これだけ「なぜ」を投げかけまがら、ニュートンやダーウィン、アインシュタインや小柴昌俊の愉快な実験室が目の前に現れるのです。ワクワクしますね・

著者の佐藤文隆さんは、この「あいんしゅたいん」の名誉会長、佐藤さんと私の夫と私は、ともにみんな大学・大学院で同級生でした。大学院の研究室を選ぶとき、佐藤さんは林忠四郎研究室、夫は小林稔研究室、そして、私は湯川研究室を選びました。
学生の頃、佐藤さんは、林忠四郎号というロケットで宇宙に飛び出す漫画を自分で書いていました。漫画が得意だった割には、あんまり上手とも思えなかったけど、ちょっと趣のある漫画でしたね。この絵本を作るときも、ほんとは自分で書きかかったのでは?
そんなことを思いだしながら、この絵本を眺めています。
宇宙物理学を専攻した佐藤さんらしく、第1冊目は、宇宙という広大なスケールの話から始まっています。

昔は、地球は平だと思っていたから、海の向こうの地球の果てはどうなっているのだろう、と思ったに違いないですね。その時、そこまで行ってみるとまた続きがある。なんや、ずっとつながっているやんか!果てはないなあ、と昔の人も思ったに違いありません。じゃあ、もっと羽を広げて、宇宙の果てはあるのかな?と思っている人はたくさんいることでしょう。そんな、はてしもない謎を追って、科学の世界に入った佐藤さんの思いがあふれた本です。

それをうまく引き出して艸場さんが内容を作り上げたのでしょう。艸場さんの優しい好奇心満々のまなざしが、こんな素晴らしい本を生み出だしたのだと思います。
「これを使って、故度尾もたちに、オンラインの授業の教材を作ってみたいな、このコロナの災難の最中です。子供たちはどうしているかな、と思いながら、いろいろと構想をねっている所でした。この私たちが生きている地球、そしてそこからはるかに宇宙へと広い宇宙のはてにまで、思いをはせれるような楽しいワクワクする授業にしたいなあ」と期待を膨らませています。

ほんとに。いい本を出してくれました、ちょっと残念だったのは、佐藤さんの先生、林忠四郎先生のお話が出てこないことです。きっと、このあと、この広大な宇宙と、ほんとに小さな小さな素粒子の世界を結びつける話は、これに続く絵本でお目にかかるのではと思っています。第4巻まであるそうですから。

本書は、歴史に残る科学者の発見や発明の瞬間を、実験室という形で再現した絵本です。彼らが何をしたのか、その成果、実験道具など、楽しく分かりやすいイラストで描いています。内容もイラストも説明文も素晴らしく、実験室をのぞき見するワクワク感にあふれていて、難しい科学の理屈も分かったような気になり、更に良く考えてみようという気になります。児童書とのことですが、内容は高校生、大学生、さらには大人にも科学入門書として最適です。

今回は第1回配本で「宇宙」がテーマで、エラトステネスからはじまって、科学者が自然とどう向き合ってきたかを壮大なスケールで展開しています。

続刊は7月、8月、9月の発行で、全4巻です。

「ネットギャリー」で本書が紹介されています。書店員や図書館司書向けのサイトで、評価の高いレビューが上がっていますのでご覧ください。

著者の艸場よしみさんからは、「7年がかりで作った本ですが書店に並べたり大広告を打って売る手法ではないため、埋もれてしまうのは惜しく、出来るだけ自分たちでも広められればと思いました、お願いします」とのメッセージをいただきました。

艸場さんは、私たちと一緒に、「放射線データ32」や、「ホールボディカウンター検査とは?」というパンフレットを作って下さった方です。