2024年04月18日

宇野理事の「低線量放射線を超えて」が小学館から出ました!(ブログ その108)

低線量放射線を超えて ─ 福島・日本再生への提案 ─ 宇野賀津子・著
7月31日発売/定価756円(本体720円+税)/新書版224頁/小学館

この中には、事故後、宇野さんが生物の専門家が、坂東(理事長)・松田(副理事長)など物理専門家などと色々な方とやりあった経緯も書かれています。今回の議論を通じて、異分野交流の意義も伝わってきます。放射線の解説はたくさんありますが、どうしてこんなに意見が極端なものばかりでてくるのか、それを宇野さんが、他分野の人と交流する中で経験したことのなかで確かめながら書いた本です。

宇野さんは、3・11以後、福島で30回以上講演会で話をしています。行くたびに福島の野菜を注文して、「きちんと測定している野菜は、もっと食べて、免疫力を上げよう」と常に言われています。昨年の夏に「原子力:生物学と物理」という研究会を、基礎物理学研究所で行ったときも、懇親会では、福島から取り寄せた果物と野菜をいっぱいとりよせたのも想い出深い。甘い香りの大きな桃、たわわに実った様々な種類のぶどう、なにより新鮮な野菜は美味しかった。野菜の浅漬けを作るのに準備のために、宇野さんと市民の艸場さん、中西さん、土田さんなどが手伝って下さった。研究会が迫っているというのに、こういうことに手間をかけるのが女性の特性です。みんなよく食べた。「福島の果物こんなにおいしいのか!」とみんな感激したものです。

免疫学者として、「点線量放射線の影響を過剰に心配するあまり、免疫力が低下する方が、がんリスクを上げるのに」という思いからいてもたってもおられず、本を書いたということです。「今もなお、妊婦と子供は福島から出て行かないとえらいことになる!と声高に叫んでいる人がいます。私には、許せない」と彼女は言います。声高に叫ぶアホな科学者に対して、科学的な誤りや勉強不足を棚に上げて、市民に対して、英雄気取りで、危険を煽り立てたのに、何とも言えないやりきれない思いでいたのは私も同じです。特に、「科学者」という権威の冠を使っての、こうした無責任な「科学者と称する英雄」たち、それが、結局、科学への信頼を失墜させた張本人たちなのだが、その背景にはいろいろな歴史的な事情もあることを感じています。中には、この危険を煽ったおかげで、資金を獲得したという狡猾な人々もいたように思うのですが、そうでなくて、善意の塊のはずが、大変不幸な状況を生み出す傾向を加速したのではないでしょうか。こんな複雑な思いがある私は、宇野さんほど「許せない」という気持ちにはなれず、「それよりしっかりデータを示すことが必要」と、あいんしゅたいんで、「誰でも納得するデータ集」の編集を、市民感覚がしっかり根付いている艸場さんや土田さんのリーダーシップのもとに、編集作業をしているという状況です。

宇野さんの本では、このような分量の本で、みなさんに読んでもらうためにやすく提供できるための苦労がにじみ出ているのですが、やっぱり、宗野さんの主張を根拠付けるデータにまでは、言及されていないので、私などが読むと、ちょっと不満が残りますが、それは、次のデータ週でしっかりサポートしていくことができると思っています。価格ではわからないことは分からない、とはっきり言うことが必要だと常に思っています。

宇野さんは、何度も現場にいき、皆さんの気持ちに寄り添った活動をしている中で、アロマセラピーのような、心の安定を得るためのこころみも、化粧品関係の方々と組んで、行っています。その行動力には脱帽です。そしてまた、宇野さんのことですから、単に放射線の生体への影響ということにもならず、癌や成人病を予防する食事や生活についてもふれられています。

ですから、この本を読むと、宇野さんの熱意が伝わってきます。彼女は、この本の印税は全て、本を買って福島の講演したところなどで無料で配布するという計画だそうです。宇野さんらしいですね。

内容は、放射線の解説というより、人間の生き方の問題、生きていくのに何が大切かを語ってくれます。彼女が実際に経験し実践した「がんの生きがい療法」の話のところで5つのヒントがかいてあり、今日1日の生きる目標に取り組むなどのなかに、「人のためになることを実行する」などというのもあり、ます。宇野さんの生き方そのものですね。

宇野さんの本は、当あいんしゅたいんの事務所には、すでに本が届いています。著者割引で(税金を足して)650円でお分けしますので、まあ、もともと安い本(720円)なので、値引きが70円では、大したことはありませんが。それよりも、この機会に、当事務所(愛称:ホワイトハウス)にお立ち寄りいただき、ついでに、私どもとちょっとおしゃべりして、帰りに1冊お土産に買ってくださるというようなやり方でいかが?

まあ、バス代にも足りない割引ですが、コーヒーでも飲みながらおシャベルできれば嬉しいです。


<本の内容>

第1章 3.11、地震、津波、そして福島原発事故が起こった→ 研究者間で意見が分かれる理由
第2章 低線量放射線の影響 → 福島原発事故と甲状腺がんリスク ほか
第3章 生体が獲得してきた防護システム → 放射線によるDNA障害と修復システム
第4章 がん化抑制の最後の砦~免疫 → ナチュラルキラー細胞と発がん ほか
第5章 免疫力を上げる方法 → 食事療法、生きがい、笑いと免疫 ほか
第6章 勉強、そして科学的に考えよう → 疑似科学と陰謀説の悲劇