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京都秘密名所巡り 12・・・銀月アパートメント

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これまで結構著名な名所が続いてきたが、今回こそは秘密名所である。それは銀月アパートメントである。とてつもなくレトロなアパートで、戦前にできたことは間違いないが、建築年、設計・施工は不詳である。場所は京都大学の北の疎水縁にある。住所は京都市左京区北白川伊織町30である。付近の有名な建物としては、少し南に駒井家住宅というものがある。こちらは米国の著名な建築家ウイリアム・メレル・ヴォーズリの昭和初期の作である。

私はそのあたりを友人と歩いていて、ふとこの銀月アパートメントを発見したのだが、入り口の上に掲げられた「銀月アパートメント」という看板の字が、はげていて良く読めず、秋月アパートメントと読んでしまった。それ以後、この前を良く通るのだが、建物の前にしだれ桜があり、春になると見事な花を咲かせる。「京都銀月アパートの桜」淺山 泰美著という本まで出ている。

このアパートはまだ現役である。結構人気があり、予約待ちらしい。賃貸条件を調べてみた。間取りは5.5畳、押し入れ収納、トイレ共同、風呂無し、家賃2.5万円、水道代1,000円、礼金7万円で20戸ある。最寄りの駅は叡電茶山である。

映画「鴨川ホルモー」では、主人公の下宿先として使われたらしい。大島渚監督も若い頃に住んでいたという。外から内部をうかがうと、結構モダンな内装にして住んでいる人がいた。その内部を窺いたい人は、銀月アパートメントの建築写真を参照。住んでいた人の思い出話はここ。このように、ネットで銀月アパートメントでググると、いっぱい出てくる。例えば銀月アパートメントと猫

京都文学散歩で紹介した森見登美彦の小説「太陽の塔」では、主人公の友人の高藪が、下鴨泉川町にある「下鴨幽水荘」というアパートに住んでいる。また四畳半神話体系でも登場する。その幽水荘のモデルがこの銀月アパートメントではないかと、私は疑っているのだが。しかしそれは京大吉田寮がモデルだという説もある。

実は「下鴨幽水荘」のモデルとして私が疑っている、もう一つの建物がある。それは実際に下鴨泉川町にあるのだ。下鴨中学校の前にあるレトロな二階建てのアパートである。私が下鴨幽水荘探索の時に発見した建物である。これが何物か分からなかったが、どうやら警察の元の待機宿舎らしい。実はこの近くに京都市警察職員泉川待機宿舎という団地があるのだが、その前身ではないかと思う。というのは、私が講義をしている甲南大学でこの建物の話をしたとき、一人の学生が、自分は小さい頃にそこに住んでいたと話したからだ。彼はそれは警察のものだと言った。現在は違うと思う。というのは、不動産屋の賃貸の案内広告が建物の一室に貼られていたからだ。1階は一間だけのようだ。入ったところに2階に上がる急な階段がある。こんな建物に住んでみたいものだ。

   
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