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人間・コンピューター・インターフェイスの用具としてのスタイラスペン

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人類のありうる未来

レイカーツワイルが「ポスト・ヒューマン誕生--コンピュータが人類の知性を越えるとき」で指摘しているように人類の進化は加速度的である。つまり進化が線形的ではなくて指数関数的なのである。指数関数的進化の場合、始めは変化がほとんど分からない。線形的な進化とほとんど区別がつかないのである。多くの未来予測は線形的な予測に基づいている。しかし進化が指数関数的であるとするならば、線形的な予測は必ず間違う。

人類の歴史において21世紀は特殊な世紀である。人口や技術が21世紀半ばに爆発するのである。その先の人類文明には、質的な変化が起きるだろう。レイ・カーツワイルが喧伝する技術的特異点が21世紀の半ばに来るとすれば、その後の人類は超人類に変化するか、あるいはコンピューターに支配されるかであろう。あるいは筆者が別項で論じているように、人類文明は自然的要因または人間的要因により、滅亡したり衰退したりする可能性もある。エネルギーや資源の制約のため、人類は石器時代に舞い戻るかもしれないのだ。

技術的特異点と知能増強

コンピューターが発達して行った場合、その可能な終局点として技術的特異点がある。技術的な進歩は指数関数的であるので、ある時点から進歩の速度があまりに急速になり、人間はその先を予言できなくなる。その時点がレイ・カーツワイルが昨今、喧伝している技術的特異点である。

上に述べたように、技術的特異点の先の人類のありうる二つの道が考えられる。一つは人口知能が意識を持ち、コンピューターが人間を支配するケースである。映画マトリックスやターミネーターの描く世界である。

もう一つは人間がコンピューターと共生することにより、人間の知能が飛躍的に拡大する場合である。コンピューターにより人間の知能が増強されるので、これを知能増強と呼ぶことにする。この場合、人間とコンピューターの間をつなぐインターフェイスが重要である。ここではそのインターフェイスについて考察する。

筆者の一連のエッセーでは明るい方の見方、つまり人類は20時世紀半ばから超人類の時代に突入する可能性とその技術的基礎について考えてみたい。

人間・コンピューター・インターフェイス

人間とコンピューターの関係を考える場合に重要なのが、人間とコンピューターの間のインターフェイスである。それには人間がコンピューターに情報を伝える場合、つまり入力と、コンピューターが人間に情報を伝える場合、出力がある。

入力デバイスとして普通に使われているものはキーボードである。その他に手書き入力、音声入力、脳波による入力などがある。音声入力に関しては別の論考で紹介した。脳波からの直接入力に関してはいずれ紹介する予定である。

コンピューターの出力デバイスとして普通に使われているものがコンピューター・ディスプレーである。音による出力として、テキスト読み上げソフトがある。脳波を通じて直接に出力する方法に関しては、現状では実用化されている技術はない。これに関してはカーツワイルがナノボットを使った面白いアイディアを紹介しているが、これは別のところで紹介しよう。

手書き入力

手書き入力とはスタイラスペンを使ってコンピューターに情報を伝達する手法である。これまでも、お絵かきソフトとか、あるいは手書き文字を入力するソフトはあった。しかし手書きでデジタル入力するソフトはなかったように思う。これが可能にしたソフトが以前紹介した7Notesである。これはiPadないしはiPhoneに、スタイラスペンを使って入力するソフトである。画期的なことは、日本語だけではなく英語も入力できることだ。それも筆記体で書いた英語を読み取るのである。 

7notesは手書き入力用のソフトであるが、指で入力することも可能であるが、細かい入力をするためにはスタイラスペンが役に立つ。本稿ではそのスタイラスペンについて論じる。iPadとiPhoneでは、入力は筆圧を感知する方法ではなく、静電容量を感知する方法である。だから指先でかけるのだ。静電容量が変化しない場合、つまり手袋をはめた指では書けないのだ。

スタイラスペン

普段、筆者がiPadとiPhoneの入力用に使っていたプリンストン・テクノロジーのスタイラスペンがなくなった。なくしたのはこれで二本目である。小さなものなのでなくしやすいのである。私はこれを愛用していた。というのは書きやすいからである。別に二種類のスタイラスペンを持っていたが、とても書きにくい。そのうちの一つは摩擦が大きく、ペンが滑らないのである。これは一本が1500円以上もしたので残念である。もう一種類は、二本で千円以下と安物であるが、ほとんど役に立たない。

ネットを調べてみるといろいろ良い候補があった。どれが良いか分からないので、三種類まとめて買うことにした。そのうちの一本はプリンストンテクノロジーのものである(890円)。もう二本はWacomのBamboo stylus(1982)とTouch wand(1920)である。

私はこの中ではBamboo stylusが最も気に入っている。一番高いのだから当然と言えば当然であろう。非常に書きやすいと言える。コストパフォーマンスで言うならばプリンストンテクノロジーのものがよいであろう。

Touch wandは特殊な構造をしている。先端が細い金属の束になっているのである。私個人の経験では、これは時々入力できない時があるのでフラストレーションが溜まる。

ネットで名高いものとしてSupenというものがある。7notesを開発した会社のスタイラスペンである。ただし、これの評価は極端である。最初買った時は感動するほど書きやすいという。しかし使っていくうちに全く書けなくなるという。非常に高いものだからこれはパスすることにした。

手書き入力という手法は、過渡的な入力方法であると思うが、手で書くという方法はキーボードとは異なり、人類が長い間慣れ親しんだ方法である。キーボードに習熟するには練習が必要であるが、手書きは誰にでもできる。もっと普及して良い入力方法である。

技術的特異点において、技術者のこのような細々とした技術の改良が積み重なって、いずれやがて爆発して革命となるのだ。

   
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