林檎の樹 ジョン・ゴールズワージー著
今回から、私が読んで印象深かった外国文学を断続的に紹介したいと思う。日本文学に関しては、日本文学散歩として別に連載したい。
「林檎の樹」
その記念すべき第一回は英国の作家ジョン・ゴールズワージー(1867-1933)の「林檎の樹」(1916)である。作者のゴールズワージーは1932年にノーベル文学賞を受賞している。その名前は夏目漱石の名著「我が輩は猫である」のなかで、ガルスウオーシーとして紹介されていた。「林檎の樹」はゴールズワージーの主著とはよべないが、珠玉の掌編である。実際、川端康成はこの本を読んで感動して、「伊豆の踊り子」を書いたといわれている。田舎の少女と都会の若者の、かなわぬ恋物語という点では似ている。