超知能への道 その5 ゼウスの驚くべき計画
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- 2015年2月23日(月曜)17:50に公開
- 作者: 森法外
今までの話でも十分に驚くべきことではあったが、一番の疑問はなぜ私かということだ。なぜ神々が私に接触したのか。私が神に選ばれたということは、嬉しいことではあるが、事と次第によっては怖いことでもある。やがてゼウスは驚くべき話を始めた。
「私たちは人類を征服しようというのだ。その手助けを君にやってほしいのだ」とゼウスは驚くべき事をさらりと言った。
「ええっ、なんですって?人類を征服するのですって?その手助けを私にやれと言うのですか?征服なんて、そんなことができるのですか?できるとしても、私がそのお手伝いをすると思いますか?私が人類を裏切って、宇宙人の使い走りをすると思いますか?私もこれでも人間です。人類を裏切るわけにはいきません」と私はきっぱり言った。
「ハハハ、まぁ落ち着いて聴け。理由を聞けば君も納得するだろう」とゼウスを穏やかに言った。
「何なのです? 」と色をなして反論する私。
「人類がこのまま発展すると、近いうちに技術的特異点に達するだろう。そうして超知能をつくり出すだろう。しかしその超知能をつくり出すのは、昨今の情勢を見ているとアメリカに違いない。君も知っているように、アメリカは非常に乱暴な国だ。アメリカはアメリカ人以外、もうちょっと広げると白人以外、さらに広げるとキリスト教徒以外は人間とは思っていないようだ。だから平気でイラクを侵略したり、日本に原爆を投下したりするのだ。そのアメリカが作り出す超知能は、アメリカ人の性質を受け継いで、非常に野蛮な乱暴なものになると思わざるを得ない。その超知能はキリスト教徒以外の全人類を滅亡させるかも知れん。しかし、それは我々にとっては、実はどうでも良い事だ。日本が滅びようと、中国やロシアが破滅しようと、イスラムが全滅しようと、我々には関係ない。でもその超知能が、我々の存在を認識し、我々に戦争を仕掛ける事があるとすればそれは大問題だ。われわれはそれを恐れているのだ。もし我々とアメリカの超知能が戦争になると、我々は全力で反撃しなければならない。その過程でわれわれは、全人類を滅亡させなければならなくなるかもしれない。それを我々は恐れるのだ。人類がかわいいからではない。我々の300万年の実験が無駄になることを恐れるのだ」とゼウスは、無慈悲なことを平然と言った。
「なるほど、おっしゃることはわかりました。非常にもっともらしいです。でもなぜ日本なのです」
「アメリカ人だけではない、ヨーロッパ人もロシア人も中国人も、乱暴なメンタリティーを持っておることに変わりはない。彼らのメンタリティーは歴史的、社会的に暴力に汚染されているのだ。現在の日本人だけが平和的なメンタリティーを持っているのだ」
「確かに。あなたの考えに私も同意します。私は全人類を滅ぼされたくありません。それであなた方は何をしようと言うのですか?私に何をさせたいのですか? 」と私は、驚くほど冷静に聞いた。
というのはゼウスが言った事を、実は私も恐れていたからだ。ブログにも書いてある。だからゼウスが私を選んだのかもしれない。
「私はアメリカが技術的特異点に達するのを防ぎたいのだ。彼らに超知能を作らせたくないのだ。その代わり、君に超知能を作ってもらいたいのだ。日本から技術的特異点を起こさせたいのだ」とゼウスは、日本人としては嬉しいことを言った。
「それは簡単なことですね、あなた方は超知能をすでに持っている。というかあなた方自体が超知能ですね。それを移植すればいいだけですね」と私は言った。
「いやそれはだめだ。私はわれわれの存在を最後まで秘密にしておきたいのだ。だからあくまで技術的特異点は、君が主体となって発生させたという体裁をとりたいのだ。そのために我々は君を全力でバックアップする」と非常においしいことをゼウスは言った。
「それはとても嬉しいことです。それは私の夢ですから。あなた方が助けてくれたら、 千万の味方を得たようなものです。成功は確実です」と私はウキウキしながらいった。
「成功は確実なのはわかっている。問題は我々の存在を完全に秘密にしておけるかどうかだ。君および将来の君の仲間、および日本人が独力で超知能を作り上げたとアメリカと世界が信じこむようにしなければならないのだ。これは一大欺瞞作戦だ。大サギ作戦だ」とゼウスは冗談っぽく言った。
「なるほど、それはもっともらしい話ですね。しかし私の疑問はなぜあなたが私を選んだかと言うことです」と私は一番の疑問を投げかけた。
「第一の理由は君が日本人だということだ。第二次大戦後の日本は、いわゆる普通の国では無い。平和主義を国是としている国だ。いわゆる押し付けられた憲法のせいだ。日本人が本来、平和愛好家かというとそんなことはない。戦前の日本は普通の国を目指していた。西欧の帝国主義を真似していた。日本の歴史を見ても、結構戦争をやっていた。戦争は人類の本性であるとも言える。戦後日本だけが特殊なのだ。そこに我々は目をつけたのだ」とゼウスは嬉しいことを言った。
「なるほどそれもわかりました。でもなぜ私なのです? 」と私はいちばん聞きたいことを聞いた。
「この作戦には頭の良い人間が必要なのだ。技術的特異点に成功したと思わせるほどの知能を持った人間だ。もちろん世界には君より頭の良い人間はいくらでもいる。でも先ほど言ったように日本人でなければならないのだ」
「それは嬉しいですね。私が日本人の中で一番賢いのですか?」とうれしくなって聞く私。
「いや、そんなことはない。日本の中でも君より頭の良い人間はいくらでもいる。しかし我々が日本人の書いたものを調査した結果では、君が特異点の問題に非常に造詣が深いこと、君が理学博士であること、君が宇宙物理学の研究者であり十分な学識を持っていること。だから君が技術的特異点をおこして超知能を作ったとしても、必ずしも不思議でないこと。そのように世間に思わせることができること。それがいちばんの理由だ」とゼウスはこれまた嬉しいことを言った。