サロン・ド・科学の探索 第25回
日 時:2016年11月27日(日) 14:00~17:00
場 所:NPO法人あいんしゅたいん事務所(京都市左京区吉田本町 5-14)
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テーマ:放射線の影響国際会議に出席して
トーク:坂東昌子氏(NPO法人あいんしゅたいん理事長)
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キュリー夫人が放射性物質を発見して以後、放射線の人体に与える影響については、多くの議論されてきました。当初は「エネに混ぜて売っていたという話まであります。 しかし、徐々にその人体に対する影響が問題になり始め、様々なことがわかってきました。 放射線の影響については、ある時期までは医療など放射性物質を扱う特殊な人、放射線医療を受けた人だけに限定されていましたが、こうした特殊な方々だけでなく、世界の人々に影響する時代がやってきました。 それは原爆の影響です。直接の被害はもちろん、原爆がまき散らした死の灰が広範囲に広がってさまざまな被害をもたらす時代がやってきたのです。放射線の影響を受けて、生物の設計図ともいわれるDNAに変異が起こって、生殖細胞の変異(遺伝的変異)、並びににガンなどを引き起こす体細胞の変異につながる影響が、大きな問題になりました。また、その中で、逆に生き物というものは、外からの刺激で変異を起こすだけではなく、変異を察知してそれを排除する能力があること、そのようにしてこれまでずっと生き物はたくましく生きてきたのだという面もあります。 これらを総合して、今後の放射線防護の原則を決める必要があります。 さらに、エネルギー源として原子力発電所が使われるようになりました。その後、3マイル島での事故(アメリカ)をはじめとして原子力発電所の事故がもたらす被害も出てきました。特に人々にショックを与えたのはチェルノブイリ事故でした。規模も大きく多くに被害が出ました。この日本でも、福島第1原子力発電所の事故が起き、どんなにみんなショックを受けたかわかりません。 こうしたなかで、放射線の影響についての極端な議論がでてきて「安全だ」と主張する側と「危険だ」と主張する側に分かれて、いったいどちらが正しいのか、みんな疑心暗鬼になりました。高線量の放射線が起こす被害は広島や長崎などでかなりわかっているものの、低線量での放射線の影響については、まだまだ明確な合意が得られていません。 こうした背景の下、ヨーロッパでは「学問領域を超えてみんなできちんと検討しよう」ということでMELODIというプロジェクトが始まりました。また、アメリカでも新しくプロジェクトが動き出し上院と下院を通過したということです。科学技術の世界で、このように世界が動き出している今、福島事故を起こした日本も、世界の方々と協力しながら、どこまでどう人体に影響するかを、専門分野を超えて話し合い、検討しあうことが必要です。
私たちは、国際的な連携をもちつつ、日本でこのようなプロジェクトを立ち上げなければならないのではないか、それが日本の義務だと思うようになり、昨年11月、初めてMELODIの会議に仲間と参加しました。 そして、今年も、9月、仲間と一緒にヨーロッパの国際会議(オックスフォートで開かれたRPW(Radiation Protection Week:MELODI主催)に出席し、日本の取り組みを話してきました。そしたら、米国で11月に「International Dose Effect Alliance Workshop 2016」が開かれるので来ないかというお誘いを受けました。 ヨーロッパやアメリカのこういう動きをしっかり見ておくと同時に連携を強めたいということで、出かけることにしました。 今回はこの報告を皆さんにお話ししようと思います。
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定 員:12名程度
申 込:「サロン・ド・科学の探索」総合ページをご覧の上、参加申込フォームよりお申込みください
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TEL: 075-762-1522(平日10時~17時)
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● 希望参加回
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備 考:クッキーとお茶代として500円をいただきます。ご協力お願いします。