2012年3月11日開催 第7回公開講演討論会報告
3月11日(日)に「シリーズ東日本震災にまつわる科学ー第7回公開講演討論会」が、京都大学理学部セミナーハウスにおいて開催されました。
今回の講演会はNPO法人あいんしゅたいんとジャパン・スケプティックスの合同講演会になりました。
ジャパン・スケプティックスは超能力、UFO、超常現象のような疑似科学を批判的に研究している会で、基礎科学研究所副所長(NPO法人あいんしゅたいん副理事長)である松田卓也はジャパン・ スケプティックスの会長をつとめています。
ジャパン・ スケプティックスは昨年に総会と公開講演会を東京で行う予定にしていしましたが、東日本大震災のために延期になったため、今年の3月11日に総会を京都で行うこととし、公開講演会も「あいんしゅたいん」との合同講演会にすることにしました。
今回の公開講演討論会では、まず安斎育郎氏(立命館大学名誉教授)が「福島原発事故をもたらしたもの--科学リテラシーにもふれて」と題して講演を行いました。
安斎氏はジャパン・スケプティックスの前会長でもあります。安斎氏は東京大学の原子力工学科の第一期生であり、若い時から原子炉の安全性に懸念を表明され、国会を含むいろんな場で反原発運動を展開してこられました。そのためにいわゆる原子力村の人々から排斥されて、長い間、助手のままにとどめ置かれました。立命館大学に移ってからは、疑似科学に対する批判運動も展開しておられます。また国際平和ミュージアムの館長として平和学、核防護学を講じて来られました。今回の講演では、安斎氏のこれまでの経験に関して主に語られました。
次に宇野賀津子氏(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パスツール医学研究センター主任研究員)が、「低線量放射線の影響と科学者の役割:福島での学習会経験から」と題して講演しました。
低線量放射線の悪影響が、世上、過大に喧伝され、福島の人たちは余分な不安感にさいなまれ、また言われない差別を被っています。宇野氏は福島での講演会活動を通じて、福島の人々たちの心のケアを行っています。
休憩を挟んで行われたパネル討論では、「どのように原子力と対峙すべきか」と題して、司会、高橋昌一郎ジャパン・スケプティックス副会長(国学院大学教授)、パネリストとして安斎育郎氏、宇野賀津子氏、坂東昌子氏(基礎科学研究所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)、佐藤文隆氏(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)、松田卓也氏及び会場からの意見も含めて白熱した議論が戦わされました。
その後は立食の懇親会が行われ、講師、パネリスト、一般参加者の間で懇談が行われました。
<安斎育郎氏> <宇野賀津子氏>
<会場の様子>