ビタミンDと健康
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- 作成日 2021年4月14日(水曜)18:05
- 作者: 松田卓也
ビタミンというとビタミンA, B, C, D, Eがよく知られている。ビタミンKというのもある。私が昔習ったことは、これらのビタミンが欠乏するといろんな病気になるということだ。ビタミンAが足りないと夜盲症になる。B不足は脚気である。C不足は壊血病、D不足は骨の曲がる、くる病だ。
ビタミンC不足では、大航海時代のヨーロッパの船員の多くが壊血病で死んだ。現在では先進国では、そこまで極端なビタミン不足はあまりない。しかしビタミン不足は微妙な形で人々の健康に影響を及ぼしている。
今回はビタミンDの話をする。ビタミンDはビタミンA, B, Cよりは注目度が低いが、ビタミンD不足は結構蔓延しているのだ。たとえば米国では40%の人がビタミンD不足だという。黒人では80%にも上る。なぜ黒人にビタミンD不足が多いかというと、ビタミンDは主として太陽に当たることで、皮膚で生成されるからだ。黒人は肌の色が黒いので、ビタミンDの生成能力が落ちるのだ。白人にもビタミンD不足が多いのは、皮膚ガンを恐れて外出しなかったり、日焼け止めを多用したりするからだ。
また母乳にはビタミンDは含まれていないので、乳幼児が太陽に当たるのを避けるとビタミンD不足が生じる。その場合、くる病になる可能性がある。
ビタミンDが不足すると何が起きるか。一番よく知られているのは骨の密度が減少する骨軟化症とか骨粗鬆症であろう。骨は主としてカルシウムでできているが、ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なのだ。だからいくらカルシウムを摂っても、ビタミンD不足ではだめなのだ。また骨の痛みや腰痛などもビタミンD不足からくる。
ビタミンD不足の影響として、免疫機能が低下して、病気になりやすいことがある。たとえば風邪をひきやすくなる。また傷が治りにくくなる。
そのほか慢性疲労、鬱もある。これらはビタミンD不足だけが原因ではないが、ビタミンD不足だと疲れやすく、気分が落ち込むことがある。筋肉痛とか髪の毛の喪失もある。これらもビタミンD不足が一つの要因になり得る。
あまり知られていないのだがビタミンD不足は睡眠の異常と関係がある。年をとると睡眠の質が悪化する。例えば夜中によく目がさめる。若い間はいくらでも寝ていたいとか、なかなか起きられないが、年をとると早起きが苦にならなくなる。また夜中に目覚めることが多い。実は私がそうなのだ。またビタミンD不足と認知症、アルツハイマー病が関係あるというデータもある。
今回ビタミンDをテーマとして取り上げたのは、私自身が夜中によく目覚めることと、認知症を恐れているからだ。今からでもビタミンD摂取を強化すれば、よく寝られるのではないか、認知症になりにくいのではないかと期待している。
ビタミンD不足になりやすい要因はいろいろある。肌の色が黒い、年を取っている、肥満である、ビタミンDを含む魚や牛乳を取らない、北のほうに住んでいる、いつも室内にいるなどだ。特に老人で施設にいて太陽を浴びず、かつ適切な食事をしないとビタミンD不足になりやすく、骨折しやすくなる。実は私の家内の母がまさにそうで、最近も2回骨折している。
ビタミンDは基本的には太陽の紫外線を浴びることにより、皮膚にあるコレステロールと反応して作られる。日本は比較的低緯度にあり、太陽は十分に照っているので、すこし手足と顔を露出して外を出歩くだけで十分なのだ。しかし北のほうに住んでいると太陽に当たっても紫外線の強度が十分でなく、特に冬の間はビタミンD不足が悪化する。冬に鬱が多いのも、それと関係するだろう。
太陽を十分に浴びることができない場合は食事からビタミンDを摂取する必要があるが、実はこれが結構難しいのだ。というのもビタミンDを多く含む食品が少ないのだ。ビタミンDを多く含む食品としてはイワシ、サバなどの油の多い魚、卵の黄身、きのこなどがある。そのほかビタミンDを強化した牛乳、シリアルなどもある。しかし食事から摂取できるビタミンDの量はそれほど多くない。
ここでひとつ重要なポイントがある。ビタミンDはビタミンA, Eなどと並んで脂溶性、つまり油に溶けるという点だ。それとは対照的にビタミンBとCは水溶性である。水溶性の場合は水に溶けるので摂取しやすい。しかし体内にとどめておくことができないので、つねに摂取する必要がある。一方ビタミンDは脂溶性なので油とともに摂取すると吸収されやすい。また体の脂肪に蓄えられる。
ビタミンDを食事からとりにくいとすれば、ビタミンDのサプリメントを飲めば良い。どれくらいの量のビタミンDを取れば良いか。米国では公的な基準は600から800国際単位とされている。しかし栄養学者の間では、この基準は低すぎるといわれている。1000-2000国際単位程度は必要だろう。ビタミンD研究家の話を聞いてみると、彼らは平均5500国際単位ものビタミンDサプリを取っているのだ。ビタミンDはビタミンCなどと違って、体内に蓄えられるので、ビタミンDの過剰摂取を恐れる意見もある。しかし専門家によれば50,000国際単位ものビタミンDをとっても問題ないという。つまりサプリメントによる5000国際単位程度のビタミンD摂取では、過剰摂取の心配はない。
ところで最近では、ビタミンDは国際単位ではなくマイクログラムで表されることもある。1マイクログラムは40国際単位だ。しかしサプリメントはほとんどが国際単位で表示されているし、米国のビタミンDの研究者の話を聞いても国際単位を使っている。だから私は国際単位で話をする。
私は一粒1000国際単位のビタミンDのサプリメントを買っている。サプリメントの中には5000国際単位とか10000国際単位といったものもある。まだ飲み始めたばかりなので、効果のほどは分からない。やはり数ヶ月程度経たないと、効果は出ないのではないかと思う。アルツハイマー病予防ということになれば、10年もたって初めて効果が現れるはずだ。気長に飲み続けることにしよう。
今回はビタミンD不足の話をした。ビタミンDは太陽の紫外線を浴びることにより皮膚で作られるので、日本では十分に太陽に当たっていればビタミンD不足の心配はない。しかし日焼けを恐れたり、室内にこもったりしている人はビタミンD不足になる。年をとると皮膚でビタミンDを作る能力が低下する。とくに施設にいる老人はビタミンD不足になりやすい。ビタミンD不足の一番の影響は骨に出るが、そのほかにも風邪のひきやすさ、怪我の治りにくさ、疲労、鬱などがある。私に関心があるのは睡眠への影響と認知症への影響だ。ビタミンD不足を解消する一番手っ取り早い方法はサプリメントを飲むことである。簡単な話だ。
<後記>
ビタミンD不足は新型コロナ感染症にかかった場合に悪化しやすいという証拠がだんだんと積み重なってきた。米国と英国で白人に比べて黒人が新型コロナにかかりやすいのはそのせいだと言われている。だから新型コロナをおそれるなら、ビタミンDのサプリメントを取るのが重要だ。私はその他、コロナ対策に亜鉛のサプリメントとケルセチンのサプリメントも取っている。それらの効果については別に述べよう。