仕事や勉強をはかどらせる5つの方法
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- 作成日 2023年2月21日(火曜)18:44
- 作者: 松田卓也
今回もスタンフォード大学医学部で神経科学を専門とするフバーマン教授のポッドキャストに基づいて、自宅やオフィス、カフェなど、どこで仕事をしているかに関わらず、生産性を最適化するための簡単な工夫について述べる。以下は、最も効果的なツールのリストで、いずれも製品や機器を購入する必要はない。以前の記事で述べたことも含まれているし、新しい知見もある。
1) 注意力を維持し、集中力を持続させる方法。
2) 姿勢を良くし、首、背中、骨盤などの痛みを軽減する方法。
3) 仕事のために、特定の精神状態(創造性、論理性など)を利用する方法。
座るべきか立つべきか?
スタンディングデスクいうものがあり、それを好む人もいる。また、座ることを好む人もいる。この件に関するデータは、最適なアプローチは「両方」であることを示している。デスクやワークスペースを整え、ある程度の時間(多くの人は10~30分程度)座って仕事をし、その後10~30分程度立って仕事をし、また座って仕事に戻ることがベストである。また、45分ごとに5~15分の散歩をするとよいという研究結果もある。しかし特にスタンディングデスクを購入する必要はない。非常に優秀な学者である同僚は、机の上に箱と数冊の本を置くだけで、シンプルで効果的なシットスタンドデスクを作り、数十年にわたって驚異的な生産性を維持している。浅い角度の製図台を使い、約30分ごとに普通のデスクに移動して、また戻ってくる。このようなシット・スタンド・アプローチは、首や肩、腰の痛みを軽減し、運動による効果を高めるという証拠もある。
正しい時間帯の使い方
これはすでに以前の記事で述べたことだが繰り返す。我々の体は神経化学的には、1日のさまざまな時間帯で異なる。そのために1日を3つのフェイズに分類する。最初の時間帯(起床後0~8時間)を「フェイズ1」と呼ぶ。このフェイズ1では、ノルエピネフリン、コルチゾール、ドーパミンといった化学物質が脳と身体で上昇する。覚醒度は、太陽光を見たりカフェインを飲んだりすることでさらに高めることができる。フェイズ1は、分析的な「ハード」な思考や、特に困難な仕事に最適である。
「フェイズ2」:起床後9〜16時間。この時間帯は、セロトニンレベルが比較的高く、ブレインストーミングやクリエイティブな作業に最適で、ややリラックスした状態になる。
「フェイズ3」。~起床後17~24時間は、眠っているか、眠ろうとしている時間帯である。この段階では、どうしてもやらなければならないこと(試験や締め切りのための詰め込み)を除いて、難しい考えや仕事はせず、環境を暗くするか非常に薄暗くして室温を低く保つのがよい(体が眠りに落ち、眠った状態を維持するためには体温を下げる必要があるからだ)。
画面(と視界)を適切な場所に配置する
以下に述べる知識は私には目から鱗であった。我々が視線を向ける場所と覚醒のレベルには関係があるということだ。下を向いているときは、落ち着きと眠気に関係するニューロンが活性化される。つまり眠くなる。一方、上を向いているときは、その逆である。だから積極的に仕事や勉強をするときは「上を向く」のがよい。
コンピュータのスクリーンを目線より少し高い位置におく。本を読むときも下を向いて読むのではなく、できるだけ高い位置に本をおく。そうして立ったり座ったりしながら仕事をすると覚醒度のレベルが最大になる。つまり眠くならないということだ。コンピュータの画面を目の高さ以上にするには少し工夫が必要だ。私はノートパソコンの下に空箱を置くことにしている。ただしタイプ入力するときは不便だから、箱はどける。そのためには軽いが丈夫な箱が良い。
背景音を使う
静寂の中で仕事をするのが好きな人もいれば、バックグラウンドノイズを好む人もいる。背景音の種類によっては、特に仕事の成果を上げるのに適したものがある。以前の記事で述べたことだが、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズを背景にして作業すると、45分までの作業には適している。しかし何時間も続く作業には適していない。これらは、YouTubeやさまざまなアプリで簡単に(しかもゼロコストで)見つけることができる。
バイノーラル・ビートは、脳を学習に適した状態に置くための、きちんとした科学的裏付けのあるツールである。バイノーラル・ビートはその名の通り、片方の耳で1つの音(周波数)を流し、もう片方の耳で別の音の周波数を流すというものである。ホワイトノイズなどと違って、バイノーラル・ビートはヘッドホンでしか効果がない。バイノーラルビート(40Hz前後)は、創造性を高め、不安を軽減する可能性がある。正確なメカニズムは研究途上だが、その効果は印象的である。40Hzのバイノーラル・ビートはYouTubeに多くあり、またスマホのアプリもたくさんある。
部屋の正しい使い方
「聖堂(カテドラル)効果」と呼ばれる興味深い効果があり、聖堂のような天井の高いスペースで仕事をすると抽象的な思考や創造性が高まる。逆に天井の低い部屋で仕事をすると、視野が狭くなり、思考が「小さく」なる。視野が狭く思考が小さくなることは悪いことではなく、分析的な処理に集中できるということだ。つまり天井の低いスペースで仕事をすると細かい作業がしやすくなるのだ。天井の高さの小さな違いであっても、このような違いがでることが分かっている。だから、集中力を必要とする仕事か、創造性を必要とする仕事かに応じて、部屋を変えるのがよい。さらには屋内、屋外など場所を変えれば、最適な効率が得られる。
参考文献
5 Science-Based Steps to Improve Your Workspace
参考動画