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聴読の威力・・・音声読み上げソフト

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コンピューターの発達に従って、コンピューターによる人間の知能増強はますます進んできた。そこで、人間とコンピューターの関係、つまりマン・マシン・インターフェースがますます重要になってくる。従来それはキーボードとディスプレーで行われてきた。キーボードは入力のデバイスであり、ディスプレーは出力のデバイスである。

入力デバイスとして私が最近注目しているものは、手書き入力と音声入力である。手書き入力に関しては、すでに 7notesの項目で述べた。音声入力に関しても dragon dictationを紹介した。音声入力に関してはさらに別の機会に紹介したい。本稿においては、音声による出力、つまり音声読み上げソフトについて紹介する。

以前私は、ブログにおいて「聴読法」を紹介した。聴読法とは文書をコンピューターで読み上げさせ、それを耳で聞きながら、かつ文章も目で追う方法である。聴読法は日本語にはあまり適していない。なぜなら日本人は、日本語の文章は耳で聞くより、目で追った方が早いからである。しかも日本語には同音異義が多いので、読み上げソフトは間違いも犯しやすい。だから聴読法は英文を読むのに適している。

私は以前、英文読み上げソフトとしてNaturalReaderというソフトを紹介した。WindowsXP版をインストールしていたが、PCが壊れて新しいものに買い直したこともあり、Windows7版を再度インストールした。

このソフト自体はフリーであるが、ロボティックでない音声で聞こうとすれば音声だけを購入しなければならない。たくさんの種類の音声があるが、二つもあれば十分であろう。値段は五十ドル弱、日本円にして四千円弱である。使い方としては、読み上げさせたい部分をコピーペーストすればよい。読み上げ速度は選べるので、リスニングに慣れていない人は、速度を落として聞けば、リスニングの練習になるであろう。

このソフトは結構高いが、最近、もっと安価なもの、さらにはフリーのものまで現れた。フリーのものの代表的としてはアドビ・リーダーの音声読み上げ機構がある。これは極めて便利である。私はPDF化されたコンピュータ・マニュアルをこれで読んでいる。いくらでも読めてしまうのである。 

iPhone、iPad用としてVoice Reader Text to SpeechVoice Reader Webというアプリがある。前者はコピーペーストして読むアプリである。PDFを読み上げることもできるが、それはアドビリーダーに任せても良いだろう。

後者はブラウザーで、URLを入力すると、その文章を読み上げてくれる。自動的にスクロールすること、読み上げている部分をハイライトしてくれること、広告など余計な部分を読まないことなど、極めて便利である。

値段はそれぞれ170円である。音声は別途購入しなければならないが、それぞれ85円である。英語に関しては、米国語と英国語の男女一人ずつの声がある。このソフトは英語だけにとどまらず、21カ国語をサポートしている。

これらの読み上げソフトを使っていて感じることは、英語を読めるかどうか、英語を聞き取れるかかどうかで、世界の広さが10倍は違うと言うことである。例えばWikipediaをとっても、日本語版と英語版では、その量といい質といい、やはり雲泥の差がある。YouTubeもそうである。音楽であれ、科学であれ、英語版のYouTubeに目を向けると、山のような情報が詰まっている。日本語版に拘泥していては、広い世界は開けない。

ディジタル・デバイドという言葉がある。情報格差と訳されている。情報技術(IT)を使いこなせるものと、使いこなせないものの間に存在する格差である。

それにさらに英語格差が重なる。下記の記事(The Great English Divide)によれば、ヨーロッパでは今や英語が共通語になっている。だから英語のできない人は、職が得られないか、得られたとしても、給料は30%は低いという。フランスとドイツの会社が合体したときに、彼らが話す言語は英語である。ヨーロッパでは英語能力が、よりよい生活をするためのキーなのである。

日本でも、例えば中国人や韓国人と話すときには、英語で話さねばならないだろう。勝ち組になるため、よりよい生活を送るためには、英語能力が必須になる時代が来るであろう。その時のために、英語読み上げソフトは、あなたのリスニング力を強化する、ありがたいツールなのである。

   
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