行住坐臥これ読書・・・キンドルがやって来た
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- 2012年4月19日(木曜)09:13に公開
- 作者: 松田卓也
技術的特異点
私はある本を読みたいと思った。それは、レイ・カーツワイル著の下記の本である。
「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき 」レイ・カーツワイル (著), 井上 健 (著), 小野木 明恵 (著), 野中香方子 (著), 福田 実 (著) 、日本放送出版協会 (2007/01) 3150円
この本は私がこのブログでも取り上げている技術的特異点を議論した本である。カーツワイルは昨今「技術的特異点」を喧伝しているアメリカの発明家である。しかしながら内容は私が考える技術的特異点よりは、はるかに未来的であり、あるいは破天荒である。また私とは違って非常に楽観的な世界観である。技術的特異点を考察するものとして、この本は読まなければならないと思った。しかしながら3150円という本の値段はやはり高い。
そこで原著で読んだらどうだろうと思って調べてるみると日本のアマゾンにあった。定価が1632円である。ほぼ半額である。" The singularity is near" by Ray Karzweil "
ところで、アメリカのアマゾンのサイトに入ってみるともっと安く手に入ることがわかった。定価はペーパーバック版の新刊書で12.78ドルである(値段は日によって異なる)。中古では7.64ドルであるという。中古本を買うという手もあるが、以前中古の本をアメリカのアマゾンから買ったときに入手までにかなり時間がかかった経験がある。ところがこの中にキンドル版の12.14ドルというのが目についた。1ドル80円として1000円以下である。翻訳書の3分の1以下である。その気になれば即座に読むことができるのである。これで私は俄然キンドルというものに興味を持った。
キンドル
キンドルとはアメリカのアマゾン 社が販売している電子書籍のリーダーである。以下に述べるのだが、日本語の本をPDF にすれば読める。しかし、原則的にはアマゾンが販売している英語の本を読むリーダーである。だから私はこれまであまりキンドルには興味がなかった。
私は科学者であるから英語の論文を読むことは普通である。また別の機会に述べたいが、英語のニュースや新聞を取って毎日読んでいる。しかし分厚い英語の本を読むことは、教科書や専門書を除いてはあまりなかった。でもこの機会に読んでみようと思った。それでキンドルについて調べてみた。
ウィキペディアの記述によると、キンドル1は2007年11月に販売が開始された。2009年にはキンドル2、2010年にはキンドル3が発売された。さらに、2011年11月からはキンドル4が発売された。現在日本で購入できる最も新しいものはこのキンドル4とキンドルタッチである。
キンドル4とキンドルタッチについて言えば、画面サイズは6インチで解像度は600×800ピクセル、16階調のグレースケールである。内蔵メモリはそれぞれ2GB と4GB である。大きさで言えば、iPad とiPhone の中間的なサイズである。文庫本サイズであり、非常に小さいのでポケットに入れて持ち運ぶことができる。手で持った場合、iPad ほどの持ち重りはしない。寝転んでも読めるのである。つまり「行住坐臥これ読書」が実現できるのである。
特長的なことは内蔵バッテリーによる駆動時間が1ヶ月程度と非常に長いことである。iPad やiPhone では毎日充電しなければならないことと比べると大きな特長であるといえる。
また、反射液晶である点も大きな特長である。PC やiPad 、iPhone は透過液晶であり画面の後ろから光で照らしているので、画面が明るい。このことは暗いところでも読めるというメリットはあるが、逆に太陽のもとのような明るいところでは読めないという欠点でもある。それに対してキンドルのような反射液晶では、明るい太陽光のもとでも読むことができる。つまり、紙に近いので目に優しいとされる。
PC の画面などを長時間見続けると目が疲れるのは、画面の明るさとキーボードやその他の部分の明るさが異なるからである。目が画面とキーボードを行き来すると、瞳孔が開いたり閉じたりするので疲れるのである。それに対して反射液晶ではそのような問題が少ない。
当初は端末の値段も4万円程度と高く、販売台数も少なくワースト製品とされたこともあった。しかし、だんだん端末の値段も安くなり、それに伴い、販売が増え、かつ単行本もキンドル版が紙媒体を超えるまでになったという。
その購入方法であるが、アメリカのアマゾンのサイトに入る。キンドル4は79ドルと書いてあるが、これはアメリカの場合である。日本から買う場合は国際版を買わなければならない。それはこちらのサイトに入る。国際版は109ドルである。私の場合、郵送料や税金を入れて127ドルであった。1ドル80円とすれば1万円程度である。支払いはPayPal で行った。もちろんクレジットカードで買うこともできる。
いきなりキンドルを買うことを躊躇する場合は、キンドルfor iPad やキンドルfor iPhone というフリーのアプリをダウンロードすることができる。筆者は、まずこの両方をダウンロードしてテストしてみた。極めて便利であることがわかった。この両者は同期しているので、あるところまでiPad で読み、その続きをiPhone で読むことができるのである。普段はiPad で読んでいて、ちょっとトイレに行くとか、外出する場合はiPhone を持って行き、出先で読むのである。
これでキンドルのファンになったのだが、やはり筆者は寝ながら本を読みたいと思う。これも別の機会に述べたいが、私が提案する「明るい寝たきり生活」にはiPad は少し重すぎるのである。寝ながらiPad を片手で持って本を読んでいると手がしびれるのである。というわけで、本物のキンドルを買うことにしたのである。たしかにお金はかかるのだが、知識はパワーである。これからの世界を支配するのは、物理的な力よりは知識というパワーであると思う。そのための投資を惜しみたくはない。
キンドルでの本の読み方
アメリカのアマゾン書店では約100万冊の書籍、150紙以上の新聞、60冊以上の雑誌.60冊程度の朗読書籍が有料でダウンロードできる。書籍の値段はかなりの部分が9.99ドルである。アマゾンは書籍の販売では、利益が出ないとされている。端末の販売やその他の販売で利益を得ているのである。全ての本の第1章が無料で読むことができる。これは現実の本屋で本をパラパラと見ることに相当するであろう。
本を購入するにはキンドルをWiFiで接続する。アマゾン書店に接続すると本をダウンロードすることができる。支払いはクレジットカードやPayPal でおこなう。紙媒体の本であると注文してから配達されるまでに最低数日はかかるが、キンドルでは数分間で読むことができるようになる。
PC とUSB ケーブルで結ぶか、あるいは電子メールでファイルを送れば、PDFやワードフォーマットの文章をキンドルにダウンロードすることができるので、自分の読みたい論文や日本語の本、あるいは自分の書いた文章は読むことができる。
英語の文書を読むさいに一番障害になるのはわからない単語であろう。わからない単語を飛ばして読むというやり方もある。その単語がキーワードでなければそれでも良いが、キーワードの場合、それがわからないとどうしようもない。そのときは辞書を引くことになる。従来の紙の辞書は引くのが、なかなか手間である.電子辞書は便利であるがしかしそれとても、キーボード入力をしなければならない。キンドルの場合、英英辞典が入っていて、わからない単語の前にカーソルを置くと意味が表示される。
英英辞典ではどうしようもないという場合は、英辞郎を購入してダウンロードすると、和英辞典が使えるようになる。iPad版とiPhone版キンドルでは和英辞典が含まれている。
これは極めて便利な機能で、すいすいと英語の本を読むことができる。英語学習にも適しているのではないだろうか。しかし私の場合、あまり簡単にわからない単語の意味が辞書で引けるので、単語を覚えるという努力をしなくなってしまった。あまり便利なのも良し悪しである。