明るい寝たきり生活・・・iPadの効果的な使い方
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- 2012年4月23日(月曜)09:02に公開
- 作者: 松田卓也
私は以前「明るい寝たきり生活」という概念を提唱したことがある。それは映画「マトリックス」で描かれたように、人間がシリンダーの中に入り、多くの人の脳が電線でお互いに結ばれていて、情報を交換し合い、いわば一種の夢をみている状態にあることを言う。つまりシミュレーション現実と呼ばれるものだ。映画マトリックスではそれを人間にとって暗い状況と捉えていた。アメリカ人は自由意志を至上のものと考えているからである。だからマトリックスの状態はアメリカ人にとっては「暗い寝たきり生活」ということができる。
しかし私はそれを明るい状況と考えているので、明るい寝たきり生活と呼んでいるのである。私がここで提案する「明るい寝たきり生活」はそのような高度なものではなく、寝転んで楽しくIT生活をしようという提案である。
六重苦の私
実はこのことは私にとって結構重要なのである。私は最近、六重苦と称しているが、六種類の病気を同時に患っているのだ。その中の一つにぶどう膜炎というものがある。ぶどう膜と言う眼球を包む膜が炎症を起こす病気である。そのため視力の良いほうの右目が霞んできたのである。症状の起きていない左目はかなり近視である。だからコンピューターのモニターを見るのが辛いのである。それではメガネをかければよさそうなものだが、実はまた頚性頭痛という別の病気があり、メガネをかけるのが辛いのである。それでiPadを愛用している。iPadは目の近くに持ってこられるのでメガネがなくても見やすいからである。
頚性頭痛のもう一つ厄介な点は、起きているのが辛い事である。寝転んだ状態が一番楽なのである。そこで私は、冬の間はこたつの中に入って寝転んで仕事をしている。暖かくなるとベランダに置いた寝椅子に座って仕事をしている。芝生や木々の緑、青空を見ながら仕事をすることは楽しい。日の光を浴びる事は精神の健康にも良いという。このようにして温かい期間はベランダが私の書斎になるのだ。もっとも真夏は暑すぎて室内に退避するが。
明るい寝たきり生活を行うために、私は寝転んだままでコンピューターを操作する方法を考え出した。まず入力であるが、音声入力で行う。別稿で紹介したのだがiPadの新しいOSであるiOS 5.1から採用された音声認識は極めて優秀である。そこで私は寝転んで左手にiPadを持ち、イヤホンのマイクに向かって発声する。日本語は同音異義語が多いのでよく間違える。その場合は音声入力にこだわらずにiPadのソフトキーボードを使って訂正する。私はこの文章も音声入力で書いているのだ。
PagesとQuick Office
iPad上で入力するためのソフトであるが、私は現在はPagesを使っている。これはマック用のワープロソフトである。最終的にはWindows用のワードのフォーマットにしたいので、クイックオフィス(Quickoffice)というiPad 、iPhone用のオフィスソフトも使うことがある。このソフトの良い点はDropBoxに直接保存することができることだ。一方欠点は編集能力が弱いことだ。
それとは逆にPagesは編集能力はクイックオフィスよりは強いが、DropBoxに直接保存することができない。DropBoxは極めて便利であり、私のIT生活には必須なので、これは大きな欠点である。PagesはWebDAVサーバーにアクセスできるが、DropBoxは対応していない。そこで、現在私はDropDAVというサービスを使ってPagesのファイルをDropBoxに保存しているが、このサービスは1月に5ドルもかかる。DropBoxが対応してくれることを期待する。
ちなみにPagesは独自のフォーマットのほかにワードフォーマットでもPDFでも保存することができる。
寝ながら世界のことが分かる
コンピューターからの出力は以前に紹介したように、音声によるテキスト読み上げソフトを使っている。日本語によるテキスト読み上げソフトはあまり効率的でないので英語のものを使っている。私が愛用しているものはiPad上で動作するVoice ReaderとVoice Reader Webである。
さてそのテキスト読み上げソフトを使って私は何を読んでいるか。まず第一はSpace Dailyと言う、天文学、宇宙、人工衛星、ロケットに関するニュースである。新しい論文や国際会議の報告も載せられている。私はそのニュースを毎日メールで送ってもらっているのだが、下記のサイトに入ると全て見ることができる。見れば分かるが、膨大な量の情報が詰まっている。
それからアメリカの科学雑誌Scientific Americanのニュースである。この雑誌の本論文を読むにはお金を払わなければならないが、短いニュースはタダで配信されている。私はこれもメールで配信してもらっているのだが、メールでなくとも下記のサイトから見ることができる。これも毎日、膨大な量の科学ニュースが配信されている。
それに登録するためにはこちらのサイトからどうぞ。
iPadからコンピューターへのリモートアクセス
という訳で私は現在iPadを愛用しているのだが、 iPadだけで全てができるわけでもない。プログラミングとか数値計算とか、やはりコンピューターが必要な場合がある。そのコンピューターを寝ながら操作する方法を考えた。
そのためのソフトはいろいろある。相手のコンピューターがWindowsの場合、リモートデスクトップという機能がある。ただしWindows Homeは対応していないことに注意する必要がある。またリモートデスクトップはMacにも対応していない。
iPadにリモートデスクトップ用のアプリを導入する。そしてアクセスされるPCにもリモートデスクトップを許可するように設定しておく。私はiTap mobile RDPというソフトを導入した。ただ私は後で述べるように別のソフトの方が便利だと思っている。
私が現在愛用しているのはSplashtop Remoteというソフトである。これはWindowsにもMacにも対応している。このソフトをiPadにインストールすると後はStreamerというフリーのソフトをウインドウズパソコンなりMacにインストールすればよいのである。ウインドウズはHomeでも構わない。Splashtopには、このほかにプレゼン用のソフトもあり結構便利である。またデスクトップを拡張するソフトもある。 iPadを第二の拡張モニターにするのである。これが便利だからリモートデスクトップは必要ないと考えている。