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京都秘密名所巡り 8・・・北白川天然ラジウム温泉

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前回は鞍馬温泉を紹介した。これは外国人の観光ランキングにも上がっているので、秘密名所というほどのものではない。今回紹介する北白川天然ラジウム温泉は、秘密温泉である。それは京都から滋賀県に通じる滋賀越え道の途中の地蔵谷にある、非常に鄙びた温泉である。

行き方としては、京阪三条駅から比叡山方面行きの京阪バス(56,57)に乗って20分、地蔵谷で下車する。または京都駅から京都バス51番、京阪バス7番の比叡山行きに乗り40分、地蔵谷で下車する。または予約が必要だが、銀閣寺道、出町柳から無料の出迎えサービスがある。

実は私は、最近は前回述べた鞍馬温泉にシフトしてしまったのだが、それまではこの北白川天然ラジウム温泉を愛用していた。その理由は、筆者夫妻だけのことと思うのだが、旅館に電話をかけると、おじいさんの従業員が、なんと家まで迎えに来てくれたのだ。初めて行こうと思って電話をかけたときに、タクシーで行くにはどう行けばよいかと聞いた。すると旅館の人は、くれぐれも隣の宗教法人不動温泉と間違えないように念を押し「いや、お迎えに参ります」と言った。それ以来、迎えに来てもらっていた。帰りはさすがにバスに乗るかタクシーを呼んでもらったのだが。

さて温泉の入湯料は1450円で、温泉に入るほか、大広間で休息することができる。値段は先に紹介した鞍馬温泉の露天風呂コース1100円よりは高いが、日帰りコースの2500円よりは安い。

温泉は室内風呂であり、そんなに広いものではない。また眺めも特筆するほどのことはない。この温泉の特筆すべき点は泉質である。ラジウム含有量が全国第2位だという。自称だから詳細は分からない。ラジウム温泉とは多くは放射性元素である気体のラドンを含む温泉である。いったい、放射能が体にどんな良い効果があるというのだろうか。それは、毒も少量なら薬になるというホルミシス効果によるとされる。

ただしWikipediaによると、この放射線ホルミシス効果(Radiation hormisis)は、学界で議論のあるところだという。定説は、放射線の害は、浴びた放射線量に比例するという線形非閾値モデル(Linear no-threshhold model)である。しかしフランス科学アカデミーの報告では、非常に低いレベルでの放射線被曝は、むしろ健康によいとして、ネイチャーの論文報告もある。放射線ホルミシスの理由は様々考えられるが、放射線を浴びた生体が、その被害を修復する過程で、免疫を活性化させるからであろう。

理屈はともかく、それでは北白川天然ラジウム温泉が効くかというと、私の経験では『効く』といいたい。私は「効く」とか「効果がある」という言い方をする。ただしそれが健康によい方向に効くかというと話は別である。

私はある持病を抱えている。特定疾患に指定されている難病である。20年以上もそれに悩まされていて、いろんな療法を試してみた。さてこのラジウム温泉に入った後、症状は即座に悪化した。その「効き目」は驚くほどであった。この経験から、私はこのラジウム温泉が『効く』という結論を出したのだ。鞍馬温泉や、大阪市内、神戸市内の他の温泉ではこんな効果はなかった。ちなみに、その病気で入院していて、退院した直後に有馬温泉に入ったが、このときも夜に入って非常に体調が悪化した。つまり効いたのである。

この経験からいえることは、本物の温泉は「効く」、ただし体に良いという保証はない。私がこの話を、周囲が温泉に囲まれていると言っても良い、弘前大学の友人に話したら、「松田さん、当然ですよ、温泉は健康な人が入るものです」

私がこの温泉に行かなくなった理由はテレビである。休憩用の大広間にはテレビが設置してある。客はもっぱら老人が多い。彼らはいつも大音響でテレビをかけている。見ても見なくてもテレビをかけている。テレビの音が鳴っていないと、なんか不安になり、精神の安定を保てないのであろう。

私は極度にテレビ、特にその音が嫌いなのである。自分が見たい番組を見るのはかまわないが、見たくもない番組を見せられる、聞かされるのが大嫌いなのである。私から言えば、日本人の多くはテレビ中毒、テレビ依存症である。鞍馬温泉の日帰りコースを止めたのも、2階の休憩室にあるテレビのせいである。日帰りコースの特典が休憩室であるのに、それが使えなければ意味がないからだ。

日本は騒音大国です。 

   
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