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免疫と睡眠とシシリー島

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新型コロナウイルスに関して私はアメリカのシュワルツ博士が、新型コロナウイルスに関する統計数値を出して解説しているYouTube番組を見ている。初期の頃の番組で新型コロナウイルスに罹患しないためにはどうすればよいかを話していた。それは免疫を強化することであるという。今回は免疫の話だ。

彼の話では新型コロナウイルスに罹患しないためには免疫の強化こそ重要だという。インフルエンザや風邪にかからないように免疫力をつけることは、同時に新型コロナウイルスに感染する可能性を減らす一つの方法なのだ。

免疫力に影響を及ぼす因子はいろいろある。これから話す睡眠、それから適度な運動、適切な食事、笑いなどがある。運動に関しては適度な運動であり、過度の運動は、かえって免疫力を落とす。ちなみにシュワルツ博士は睡眠の専門家だ。

コロナ流行の初期の頃の中国で、医療関係者が新型コロナウイルスに感染して亡くなる人が多かった。あれほど防護マスクをしていてもそうなのだ。その理由のひとつは、ほとんど寝る間もなく働いていたので、睡眠時間が不足して、免疫力が弱っていたからであろう。痛ましい話だ。

ある実験がある。人々を8時間以上寝るグループと、7時間以下のグループに分ける。すると睡眠時間の短いグループは長いグループに比べて3倍も風邪をひきやすくなる。つまり睡眠時間が短いと、免疫力が上がらないのだ。

睡眠時間だけではない。睡眠の質も問題になる。一度寝たら、最後まで目覚めないような睡眠を良い睡眠、途中で目覚めるような睡眠をよくない睡眠とする。睡眠の質が低いと5倍も風邪をひきやすくなるという。

私にはこの話は耳が痛い。というのも、私は後期高齢者なので睡眠時間が短く、また睡眠の質も低いからだ。だいたい、新型コロナウイルスで亡くなる人は老人が多い。免疫力が弱いからだ。

睡眠には深い眠りの時期と浅い眠りのレム睡眠の時期がある。レム睡眠のレムとはRapid Eye Movementのことである。人は寝始めるとまず深い眠りに落ちて、やがて浅い眠りのレム睡眠になる。その時に目覚めなければまた深い眠りに落ちる。この周期は90分ほどだ。この様な周期を夜中に4-5回繰り返す。免疫にとって重要なのは最初の深い睡眠の時であるという。途中で目覚めるのはレム睡眠の時である。ちなみに夢を見るのもレム睡眠の時が多い。

それではどのようにすればよい睡眠をとれるか。これも耳の痛い話だが、眠る前はスマホやタブレットは見てはいけないという。特にブルーライトがいけないのだが、そうでなくても明るい光を見るのはよくない。テレビを見るのもよくない。要するに睡眠をとる前に光が目に入るのはよくないのだ。また睡眠中も目に光を当てるのはよくない。寝室は真っ暗にしたほうが良い。逆に目覚めたときは明るい光を浴びるのがよい。外に出て朝の日の光を全身に浴びるのが理想的だ。

徹夜のシフト勤務をしている人は、なかなか大変だ。シフト勤務している場合はシフトを変更しないほうがよい。また途中で例え20分でも寝るのがよい。またシフト勤務から帰ったらすぐ寝ることが重要だ。その時は部屋を暗くする。土日もそのサイクルを続ける。

不眠症というのがある。寝床に入ってもなかなか寝付けない。寝付けないと不安になって、ますます寝付けない。寝室には寝ること以外のことをしないのがよい。例えばテレビは寝室に置かない。パソコンも置かない。眠くなれば寝室に行って寝る。起きたら別の部屋で食事なり仕事をする。これがよい睡眠をとるための条件付けだそうだ。

私は睡眠時間が短い。ということは昼間に眠くなることがある。その場合は昼寝をする。特に眠くなるのは昼食後のことが多い。文献によれば、昼寝をすることは非常に良いという。ただし長すぎる昼寝は、夜に眠くなくなるのでかえってよくない。20-30分の昼寝が適切だ。長くても1時間以内だ。私はアップルウオッチをしているので、人工知能のSiriに「30分経ったら起こして」と頼んでから寝る。そうしたら時間が来たら、彼女はブルブルと震えて起こしてくれる。アレクサに頼んでもいいのだが、彼女は声が大きいので、人の迷惑になる。いつでも昼寝をすることができるというのは、我々のような退職者の特権である。

イタリアなど南欧諸国ではシエスタといって昼寝が社会的に制度化されている。ある時、イタリアのシシリー島のパレルモ空港について、銀行でお金を替えようとしたらシエスタの時間で銀行が閉まっていて、非常に不自由したことがある。

その時はシシリー島の西端のトラパニの近くの山の上の街エリチェにいく途中であった。エリチェの僧院で開催される「相対論的宇宙物理夏の学校」に参加するためである。この学校の主催者は友人のローマ大学の教授だ。パレルモからトラパニまでは汽車で数時間なのだが、遅くなりそうなのでパレルモのホテルを予約した。そしてタクシーに乗ってパレルモに向かった。タクシーの運ちゃんがどこにいくのかと聞くからエリチェだと言ったら、このままタクシーで行ったらどうかという。でもホテルを予約しているというと、そんなことは無視して、このまま行こうとしつこく勧める。まあそれもいいかと思ったが、そこまでの現金は換金していないといったら、トラベラーズチェックでいいという。

夏の学校の参加者のイタリア人に面白い若い人がいて、南イタリアジョークをたくさん話してくれた。イタリアは北部と南部は別の国だそうだ。ローマより北が北部で、ナポリより南は南部だ。北部の人間は南部をバカにしている。南部はイタリアではなくアフリカだという。そしていかに南部の人間がどうしようもないかという話が、南イタリアジョークだ。終戦後のナポリでの話だ。米軍のジェット戦闘機が盗まれた。解体された戦闘機がトラックに乗せられて国道を走っていた。尾翼が荷台から突き出ていたので分かったそうだ。ナポリの清掃局の職員が、職場に来ないでまったく仕事をしない。でも給料日には来たという(この種の話は実は、日本でもあったのだが)。

彼がパレルモからトラパニ行きの列車に乗った。禁煙車に乗ったのに、タバコを吸っている乗客がいる。注意してもらおうと車掌を呼んだら、車掌はタバコを吸いながらやってきた! 私がエリチェでトラベラーズチェックを換金しようと銀行に行った。彼についてきてもらった。換金したら、どうもお金が足りない。そのことを彼にいうと、銀行員に掛け合ってくれて、ちゃんとした金額を手に入れることができた。彼によれば、シシリー島では銀行員も警官も信用してはダメだという。

エリチェという街は、断崖絶壁の山の上にある中世そのままの町である。古い城や僧院、教会がいろいろある。街の道は石畳である。ちなみにエリチェとはヴィーナスの子供だそうだ。エリチェは古来、カルタゴ、ローマ、ノルマン、アラブなどに支配されて、それらの文化が入り混じっている。近くにはセジェスタとセリヌンテという古代ギリシャ風の遺跡もある。エクスカーションで行った。

この夏の学校で私が一番気に入ったのは、ビデというシステムを知ったことだ。トイレの後で洗うことができる。私の部屋には備え付けではなく携帯のビデがあった。これが実に快適だった。後に住んだジュネーブのアパートにも備え付けのビデがあり重宝した。日本人の旅行客の中にはビデの使い方がわからず、大をしてしまって、流すのに苦労したという話がある。現代の日本ではウオッシュレットがあるから、もはやビデは必要ない。私はウオッシュレットがない国は文明国とは認めない。また文明国以外には行きたくない。というわけで私には、もはや行ける外国はないのだ。

エリチェで次の年の冬にあった「相対論的宇宙物理冬の学校」にも参加した。その時の宿泊施設は古い石造りの僧院であった。暖房がなく部屋があまりに寒いので、管理人に電気ヒーターはないのかと聞きに行った。彼は二台あるという。それを貸してくれというと、ある美人の女子学生に二台とも貸したという。一台回して欲しいと言ったが、ダメだという。やはりイタリア男性は女性に優しい。これがイタリアでありシシリー島である。

こんな話をするとシシリー島の人はいかにも酷い人達に見える。そんなことはない。私の神戸大学時代の学生がパレルモ大学の研究者を訪ねて数ヶ月滞在したことがある。その間ある民家に泊めてもらった。帰るときに宿泊料はいくら払えば良いかと聞いたら、その家のおばあさんは要らないと言ったそうだ。シシリー人は親切なのだ。北イタリア人の話だけをまともに受けてはいけない。

話が脱線してしまった。まとめると新型コロナウイルスに罹患しないためには、免疫力をつけるのがよい。それはインフルエンザでも風邪でも同じことだ。特に重要なことは睡眠である。十分な時間の睡眠、良質な睡眠をとることが免疫力を強化して、病気にかかりにくくなるのだ。夜寝られない場合は、短い昼寝をするのは良いことだ。南欧諸国では昼寝がシエスタとして制度化されている。エリチェは良いところだ。

   
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