オバマ政権の科学技術補佐官にジョン・ホールドレン前パグウォッシュ会議事務総長が就任へ(ブログ その3)
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2008年12月27日(土曜)07:53に公開
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作者: 坂東昌子
今、パグウォッシュ会議のメーリングリストでは、このニュースをめぐって、世界中のパグウォッシュ組織から流されたすごいメールのラッシュが始まっています。ジョンは、核兵器廃絶のための「Multi-lateral Treaty」という方向を提案されているパグウォッシュ会議の重鎮メンバーです。
今、彼がオバマ大統領のscience adviserに任命されたニュースが飛び交っており、すごいことだとみんな喜んでいます。
このニュースはAAASという「万人に科学を」を目標に結成された アメリカの学会のホームページ に掲載されています。
私も2005年の広島のパグウォッシュ会議に出て、彼の講演を聞き、彼の提案している核兵器廃絶への道筋、すなわち、世界で一挙に合意に至ることはたとえ難しくても、できるところから何国でもいい、その間で協定を結ぶ、この方法で世界を結んでネットワークを作っていけばいい、という提案に現実的な道筋だと感銘を受けた1人です。
もっとも、彼の見せた核兵器の保有状況のグラフには納得できないものがあるので、あとで、個人的に議論もいたしました(この点については、後ほど紹介します)。今のパグウォッシュのなかではなかなかの理論家で、リーダーシップをとっていました。
こういう人をオバマが採用したことは、暗いニュースの多い中で、明るいニュースです。パグウォッシュメーリングリストというのがあり、私も、2005年、日本で開かれたパグウォッシュ会議に出席した機会に、このメーリングリストに入れてもらいました。科学者がどこまで今の世界で、平和に寄与できるかはわかりませんが、どんなことでも、国際的な世論を高め、ネットワークを広げることが基本ですよね。それだけではだめでしょうけど。
また、韓国物理学会が中心に「クロスロード」という科学者が社会に向けて発信する雑誌ができたということです。ここには科学の普及も含めて漫画入りの解説とかも乗せていくつもりのようです。このあいんしゅたいんの参与(若手の意見を反映できる方々)である前さんや山田さんは、まえから、AAASみたいに、市民と一緒になって科学を楽しみながら、科学を発展させるためにみんなが協力し合える組織になればいいな、といっておられましたが、こういうニュースをいち早く取り上げられるのは、AAASなのかもしれません。
このNPOもこれからどんな活動をしていくのか、皆さんとともに知恵を絞って、未来を作っていきたいものです。
若手の活動場所は、日本だけではありません。こういう国際的な仕事を担う人材も必要でしょう。このことに気づかされたのは、物理学会のキャリア支援センターのプロジェクトマネージャを勤めておられた谷口さんが、こういう可能性を指摘されたとき、とても頼もしく思いました。知的人材の活用の道をいつも考えていると、何かをきっかけにして、新しい道が見えてくることがあるのですね。科学の発見も、偶然のように見えながら、実は、いつも問題意識を持ち続け努力している人に突然新しい発見やアイデアが見えてくるのではないでしょうか。湯川理論が野球をしていて思いついたとか、益川さんがお風呂で思いついたとか言いますが、その前の問題意識の鋭さと、常日頃の努力の積み重ねがなければ、新しい発見には至らないのではないでしょうか。