クリスマスの実験教室、岩本さん楽しくやりましょう!(ブログ その161)
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作成日 2021年12月08日(水曜)12:27
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作者: 坂東昌子
「私が実験の準備をしていたら母が手伝ってくれて、そして言ったんです。『科学の見方が変わった』って」。このお母さんの言葉に、私はとても感激しました。
この親子理科実験教室は、科学者がいろいろとお話ししたり、科学教育でのベテランの先生方が行う科学教室とはちょっと違います。それは、若い大学生や大学院生が実験教室を自ら申し出て周到な準備をして、素晴らしい教室を開いたことから始まりました。これは、とても新鮮で、子供たちにも圧倒的な人気がありました。
ベテランの先生方と共に、若い方々がとても素晴らしい印象に残る教室を丁寧に開いてくれています。それは、子供たちと年齢が近いので親しみやすいだけではありません。初めから失敗しながら、いろいろ回り道もして、一生懸命、こうでもない、ああでもないと繰り返し確かめ、工夫を重ねているその姿に、科学者の姿が伝わるからです。
しかし、今回、大学入学した途端、こうして企画し、お話しすることを自ら申し出て引き受けてくださった岩本さんの、すごいすごい!チャレンジ精神にみんな感心しています。
今まで実験教室を運営して一緒に頑張ってきた先生や大学院生、みんな、とても感激して、一緒に企画を考える手伝いをしているのです。何を題材に選ぶか、どういう形で子供たちに説明するか、どんなことなら楽しんでもらえるか、1から始めていろいろと考えたのです。
そして岩本さんが「石鹸」を選んでこられました。初めての岩本さんがひたすらに頑張ってくれる姿にとてもうれしい気持ちでした。何度も打ち合わせ準備会を持ち、だんだんテーマが煮詰まっていくにつれて、このように丁寧に、準備することによって、若い岩本さんが成長していく姿が、楽しくなりました。
先だって(11月19日)も準備のために、先輩の草場さん、千田さん、そして指導を続けてくださっている角山先生(京大アイソトープセンター)と坂東が加わり、いろいろな検討を行いました。
岩本さんは、「石鹸のキーワード」として、界面・界面活性という科学の言葉をしっかり中心に置きながらも、クリスマスに近いイベントなので、キラキラ石鹸でクリスマスの飾り物も作りたいと、いくつかの、作品を作って見せてくださいました。(右図)
岩本さんが、「お母さんが、汚れを取る実験のための毛糸をまく作業を手伝ってくれて、1つの科学実験をするのにこんなに準備するのだね」と言って下さったそうです。そうなのです。
界面活性という現象の定義からどんな道具を使ったらいいか、実験もしながら、検討を重ねました。クリスマスらしく、キラキラ石鹸をどのように工夫して作れるか、写真のようにカットを入れたり、型にはめて好きな色を付けたりと、いろいろ工夫できるので、この出来たものをお互いに見せ合いたいな、などと言いながら、工夫の仕方、色の付け方など、楽しくうきうきした気持ちで作品が作れるようにと、子供たちの顔を想像しながら5時間延々と議論いたしました。
もちろんそれだけではなく、水と油はなぜお互い混ざり合わないか、そして石鹸を入れたらどのようになるか、など、いろいろな道具を使って実験しながら、こうでもない、ああでもないと議論を重ねました。
じつは私自身は、石鹸のことはあまり調べたこともなく、この度はじめてみんなと議論する中で、なるほど!石鹸って奥が深いなあ、と感心するばかりでした。角山先生も、「子供たちにもわかりやすく、飽きずに最後まで取り組めそうです。界面とか界面活性とかの説明のところをどこまで子供に伝わりやすく仕上げてくださるのか、「科学」教室としてはここがポイントになるかと思います。」と大変感心されました。
それからさらに、石鹸を加えるとどうなるか、も実験してみました。なるほど、なかなか物の性質(大学に行ったら、分野は「物性科学」といいますが)は、いろいろさまざまで、素材を人間が見事に使って生活に役立てているのだなと、改めで感心するばかりです。
そういえば、2年前の10月、花王すみだ事業場を訪ねて、ここの研究者たちの活躍ぶりを拝見し、研究戦略企画の女性研究者、山口紀子さんにいろいろ教わったな、ということを思い出しました。藤井さんという上司の方も加わって聞いたお話は感激的でした。
「花王石鹸」というぐらいだから、石鹸が中心の会社かと思っていたら、幅広く、物の性質を研究し、界面活性の話だけでも、幅広く利用価値があることにびっくりしました。
早速、山口さんに連絡を取りいろいろ教えてもらいました。山口さんたち花王も、色々な市民講座をやったり、子供さんの手洗講座をやったりしているということで、話が弾みました。そして、洗剤のお話のいろいろな知識を教えてもらいました。手洗いの話も盛り上がりました。いつか手洗いを中心にした実験教室もやる予定です。
こうして、ネットワークが広がってとても楽しくなりました。「あいんしゅたいんの理科実験教室 petit(クリスマス直前企画)」石鹸のひみつの教材等教えていただけると、私達も、とても嬉しいです。」とは山口さんのお言葉です。花王のFacebook等で活動報告しておられます。元気で素晴らしい女性研究者とまたつながったことに、とてもワクワクしています。
ところで、石鹸の話とコンクリートの新素材の発明が繋がっている事、それが花王での製品になっている事、知っていますか?科学者はいつもいろいろなところに目をつけて、新しい製品を作るのですね。この話はまた別にご紹介しますね!
初めてのことで何度も実験を繰り返し、子供たちが喜んでくれるよう、一生懸命にトライしておられる岩本さんの姿は、ほんとの頼もしいです。おたのしみに!