第33回:「授業が上手になりたい」by 山田
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2009年11月16日(月曜)04:40に公開
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作者: 山田吉英
大学非常勤講師1年生の山田です。
物理の授業をするのって、すごく楽しいです。色々と大変だし悩みも尽きないけれど、やりがいのある仕事だと思います。
授業準備のことを「教材研究」というそうですが、この作業が本当に楽しい。クリアな説明を求めて、色々な教科書を読み比べたり、自分で試行錯誤することで、自分自身の理解が整理され深まっていくのを感じます。
学生の頃にはいまいちピンとこなかった内容が、「そういうことだったのか!」とすっきりすることもしばしばです。
思い返せば、全く優秀な学生ではなかった私にとって、50分や90分の授業を集中して聞くのは至難の業でした。
そんな私でも、どきどきわくわく聞くことのできた授業がいくつかありました。特に大きなインパクトを受けたものとして、
・学部3回生の頃に聞いたI先生の統計熱力学、
・大学院生の頃TAとしてお手伝いしたA先生の力学、
・今夏、勉強のため見学させていただいたI先生の文系科学、
この3つは少なくとも私にとって「名講義」というべきものでした。
これらの授業に共通にあると思われる特徴としては、
・説明をする言葉に血が通っていた(感覚やイメージに根ざした表現があった)
・オリジナリティの高いレジュメや教科書が使われた(他の本で見かけない説明)
・デモンストレーションがあった(それだけでは終わらず概念に接続された)
・熱意が感じられた(先生の口ぶりだったり、授業の完成度の高さだったり)
といった点が思い浮かびます。
これらの特徴を自分の授業にも持たせようと努力していますが、ある程度の経験を重ねていかないと、一朝一夕では難しいとも感じています。
他にもいくつか、憧れている授業があります。
一つはRichard Feynmanの「Lectures on Physics」で、大学院受験のため、原書と和訳と授業テープを使って勉強していました(途中の章で頓挫してますが)。
もう一つは、Paul Hewittの「Conceptual Physics」で、こちらは学部4回生の頃、英語の勉強をかねて読んでいました。
だいたい、生の授業→原書(英語)→日本語訳と変換される度に、わくわく感が薄れてしまうものですが、機会があればぜひファインマンやヒューイットの肉声を聞いてみてください(Project TuvaやYou Tubeなどで)。
とにかく楽しそうです。