第59回:「ひとつきたって」by 森
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2010年7月07日(水曜)04:44に公開
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作者: 森祥寛
巷で話題のiPadが日本で発売されてから一月がたちました。皆さんの周りでも購入された方がいらっしゃるのではないでしょうか。
私も注文していたiPadがようやく届き、先週は時間があると(…いや、無くてもかな?)iPadをいじっていました。おかげでいくつか作業が………滞ってはいませんよ!
決してそんなことは無いのです。
※それよりも発売前に注文したのに、今頃届くという大学の物品購入に対してもの申したいところです。
現在、私は金沢大学にてICTを活用した教育を推進しています。そこで、教育にICTを活用していくための端末という視点から、このiPadについて分析してみたいと思います。
まず、本体そのものについてです。皆さんもニュース等を見て、形状についてはよくご存じでしょう。しかし映像では重さは伝わりません。実際に持ってみての感想は・・・【重い!】でした。
ノートパソコンと比べたら軽いですが、技術仕様に掲載されている重量680g(3Gモデルは730g)は片手で持って、或いは持ち続けて、作業するにはつらい重さです。もし、iPadで本(教科書)を読む、教材で学習するという作業では障害となりそうです。なお、私が作業するときには、iPadを持った腕を椅子の肘起きで支えて使っています。
次に画面サイズですが、これはほぼA5サイズ(A4の半分位)で、持って使うにはちょうど良い大きさです。これ以上小さければ、iPhoneと変わらないでしょうし、大きければ重くて持てなかったでしょう。そういう意味では絶妙のサイズといえます。
※ただし、あくまでも私たち位の世代にとっては・・・です。
高齢の方の場合、アイコンの下の文字が読めなかったり、画面の周辺にでてくる操作用のボタンが見えなかったりしそうです。画面解像度も高く、少しくらい小さな文字でも、問題なく判別できます。通常A4サイズで印刷される論文を、iPadで読んだときも、全く違和感なく読み進めることができました。
三つ目は操作性ですが、既にインストールされたアプリケーションを使うのであれば、非常に直観的でわかりやすいものになっています。しかし、読みたい本のファイル、写真等の画像ファイル等をiPadに移したいとき、或いは不要になったファイルをパソコンに移動させて保存したい時等の操作が極めて分かり難くい!この手の機器の操作に慣れている者であれば、何とか操作できますが、始めて扱う方にとっては高い壁になりそうです。この辺りは、学習機器として使用するとき、個人に持たせる端末としては大きな問題となるでしょう。解決方法としては、専用のアプリケーション自体を開発してしまうと言うことですが。。。それもまたハードルは高いのではないでしょうか。
※このファイルについての考え方は、アップルのCEOであるスティーブ・ジョブスの意見に基づくもののようで、彼は、ファイルという概念を無くしたいと考えているようです。そのため、iPhoneやiPadには、Windowsでいうとことのエクスプローラーのようなものが存在しておりません。
ここまで、否定的な感想ばかりでしたが、iPadは使えない端末なのか?
というと全くそんなことはありません。問題点を踏まえた上で、様々な活用方法が見いだせそうな端末です。
インターネットブラウズ1つとってみても、これまでとは全く違う感覚で行うことができます。
画面を指で触って、リンクをクリックするいう行為が、マウスを使う場合に比べて、より直接的に操作している感じを得ることができるのです。これがいわば、本をめくるのと似たような感覚で、機器をあつかえます。
※逆に、ニュース等でよく紹介されている、電子書籍でページがめくれるアニメーションは、演出が過剰すぎて、かえって実感を失わせているように感じます。
アプリケーションの中には単語帳のようなものもあり、それらを組み合わせることによって学習効果自体も期待できそうです。
そうして考えていくと、iPadを使った学習はこのようなスタイルになるのかな?
「図書館の机で勉強をしている。
机にはノートを広げ、iPadをその左側においている。
教科書や問題集は全てiPadに収められており、適宜操作し、必要なページを読んでいる。
これらの操作は左手で行い、必要なメモや計算は、右手で握った鉛筆でノートに書いていく。。。」
う~ん…、何となく、勉強しているというイメージが浮かんできませんか?