「あいんしゅたいん」でがんばろう 9
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2009年3月30日(月曜)00:34に公開
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作者: 佐藤文隆
三月はひさしぶりに東奔西走であったが、科学教育関係も多かった。前にも言った指導要領改訂の理数の前倒しで教科書会社はどこも大わらわである。次に平成基礎科学財団の「小柴昌俊科学教育賞」の選考委員をつとめた。また月末には「きっづ光科学館ふぉとん」で小学生相手に「地球と宇宙の境目ってどこ?」という題で“お話と実験”をやった。
私が関わっている実教出版の高校の物理の教科書づくりも急ピッチである。編集会議は大半が高校の教師なので、現場のもろもろの課題の実情を知る、まさに「世の中探検隊」の精神で未知の世界に知見を広めている。
「小柴科学教育賞」は2008年度で第五回である。選考は大変念がいっていて、第一回の会の書類選考で現地調査するものを選び、委員が手分けして現地調査した結果を持ち寄って第二回の会をやって3~4件選ぶ、そして最終審査はこれらを招いて午前にプレゼンし昼食時に第三回の会をやって優秀賞を一つ選び他は奨励賞とし、午後に発表して小柴先生による贈呈式をする。「プレゼン」と贈呈式は東大小柴ホールで公開で行われる。今年度の優秀賞は「「ナスカの地上絵」の再現-小学生を対象とした比例と相似の学習の可能性-」諫見泰彦氏(中村産業学園九州産業大学準教授)に決まった。板上の小さな絵を糸を使って校庭などに拡大して描いていく子供たちの活き活きとした様子(ビデオ)と生徒たちの書いた感想文はなかなかの迫力だった。工業高校の教員免許取得には測量が要る。諫見さんは大学での測量の授業で生徒に興味を持たすために「ナスカの地上絵」との結びつきが始まったということだった(測量製図とは比例収縮)。その他の奨励賞については財団のHPをご覧ください。ちなみに優秀賞はメダルと100万円、奨励賞はメダルと50万円ですが、小柴さんとツーショットの記念撮影も値打ちものかも知れない。
光科学館での“お話と実験”のテーマを二カ月前頃に決める時は「宇宙飛行士は話題になる時期だからISSでいこう」と迷はずに決めた。もう10年以上も前、大方の宇宙科学関係者がISS反対を唱えている時分から、私はISS推進側でこれの“おもしろさ”や独自さをあれこれ考えてきたので、ISSについては相当のベテランである。これをネタに「地球と宇宙の境目ってどこ?」と入り、光科学館なので実験では光の散乱を溶液や煙にレーザーを当てるをやって、空気中の雲と青空に話しをうつし、空気の頂上の上のオーロラ・太陽風(動画)にいき、星の世界にひいて、最後は「世界天文年」でガリレオの話で終わった。実験を見せるので80人定員としていたが1時間も前から200人以上(三分の一は父兄)が並びだしたので、子供は床に座らせて詰めさせ、15分ほど早めて始め、混乱を回避した。騒然たる雰囲気だから、出来るだけ大声で子供たちに呼びかけ、あっちこっち動き回って、1時間しのいだが、さすが終わってぐったりきた。そりゃ、私も23日で71歳になりましたから。