We love Fukushima in 関西
私はわたし、きれいは自信:自分を輝かせる化粧を学ぶ
あいんしゅたいんでは、26年度事業として多様な年齢層、多様な専門家が一緒になって夏に伊達、南相馬、郡山と行って色々なかたとお話しする企画を実行、これはこれで実り多かったです。関西の県外避難者とは、これまでにホールボディカウンター検査を受けに京大原子炉へ行ったり美浜の関連の発電所へ行ったりしました。その後2013年の12月には福島からホールボディーカウンター検査車が京都と兵庫に来てくれた時も、避難者の方々とカフェを開きました。このようにあいんしゅたいんでは、福島からの避難者と色々な交流を図ってきました。
今回の企画は、去年12月に復興庁主催の福島避難者向けの会にいった後、急遽決まりました。どうせならもっと楽しい企画をしたいねと、会議の後滋賀からの避難者の佐藤さんや伊藤さんと話をしました。この会にはナリスの谷さんも来られていて、佐藤さんや伊藤さんから娘さんが大学生になったので化粧を教えてほしいという要請がありました。お父さんやお母さんからすれば、専門家のアドバイスがあれば、もっと可愛くできるはずだとの思いがあったようです。そこで次の会は、化粧の仕方を学ぶというのと、お話会を組み合わそうと言うことになりました。
なぜ化粧?、それには宇野と谷さんとの研究の長い歴史があります。
私たちは1996年と1998年におばあちゃん達に化粧療法をすると言うプロジェクトを立ち上げました。何かもっと化粧の新しい側面、特に免疫への影響の研究をしたいという相談をナリス化粧品の方から受けたことにあります。そこで、老齢期の婦人に化粧療法をデーマに助成金を申請し、助成金を得、ある大阪の老人病院で平均年齢83歳の患者さんたちを対象に、化粧療法をするプロジェクトが始まりました。その時のナリスの責任者が谷さんでした。この経験はとても大きくまたその後の私たちの人生にも影響を与えました。化粧の前と後で比べると、後で免疫能が上がっているという結果も得られ、長期的に見ても免疫機能が上昇するという結果を得ることもできました。80代ともなると、リハビリ効果はありませんでしたが、会を追うごとに、おばあちゃん達が生き生きとしてくるのがわかりました。この話を1998年に朝日新聞にサイエンスエッセイを書いたところとても反響が強く、色々な問い合わせがありました。その後、谷さんは介護美容に力を入れ、最近介護美容セラピスト協会を立ち上げたとの事です。
私の方は2011年の福島での活動経験から、2012年はお母さん向けプロジェクトが必要と思い、2012年の正月明けに谷さんに10年ぶりぐらいであい相談しました。その3月に谷さんは一緒に福島に来てくれて、福島の方とお話の機会をつくり、ニーズを感じてくれました。
2012年の4月に、学振が今年はお母さんプロジェクトを支援してくれるので、協力をと県庁で県会議員に要請にいったら、長尾トモ子県会議員から「今、福島に必要なのは、偉い先生の話よりアロマです」と言われました。まだまだ県外へ避難される方の方が、帰ってこられるより多いという状況でした。化粧療法を提案したのですが、学振は学振スタイルでということで、この話は消えました。でも、日赤に提案したら、日赤はOK、一方谷さんは会社に掛け合い、化粧乳液一万本の被災地支援を会社から、引き出してくれました(ナリス化粧品さんの本社は、大阪市福島区にあり、外国からは風評被害も受けたということで)。それから、私達は福島で、匂い袋作りやハンドマッサージとセットにした講演会を、ずいぶんとやりました。
2013年の12月、京都にホールボディーカウンター検診車が来るときも、内部でナリスさんに協力してもらうかどうかの議論があったのですが、実際,皆さん経験してみると、避難者の方が素直に喜ばれるのを目にして、「ハンドマッサージなんかでごまかすのはすかん」と言っていた坂東さんの認識も少しは変化したようでした。実際福島へ行って,講演会の始まりにハンドマッサージをやると、皆さん戸惑いながらも、喜んでくださいます。2014年夏にあいんしゅたいんで、福島に行ったときの様子はこちらに詳しく書かれています。
ハンドマッサージをしながら、聞きたい事、不安を話してもらって、それに答える形で話を進めます。先日は京大RIセンターの角山さんと私で富岡町の人や保育師向けの学習会に行ったのですが、ハンドマッサージ、お話、角山さんの機器をつかった放射能とのつきあい方の話に、こんな学習会は始めてと多くの人に言っていただきましたし、中には放射能に対する考え方が変わったとの意見もいただきました。
今回の企画に対する皆さんの報告を読んで化粧の経験がいろんな意味でとても楽しかったと聞きました。昔の研究が現場で生かされていることをとても嬉しく思います。たかが化粧、されど化粧です。
ということで、化粧の効用なかなかのものでしょう。しかけた当人は、その前の週に北海道で滑って転んで、左手首を骨折、前日に手術した病院のベッドで点滴をうらめしげに見ていたのですが。一応、元通りにつなげたとのこと。あとは自然治癒力にまかせたいとおもいます。
宇野賀津子 2015年3月3日記