電気の発見から応用までの歴史 ー エルステッドの大発見(電気と磁気の関係の発見)ー 杉原和男先生
電気にはプラスとマイナスの電荷があり、同符号のものは反発し、異符号のものは引きあうという性質がある。また、磁気(磁石)にはN極とS極の磁極があり、同極のものは反発し、異極のものは引きあうという性質がある。さらにこの電気の間の力(電気力)と磁気の間の力(磁気力)は、どちらも、力を及ぼしあう物の間の距離が近いほど力が大きくなるという性質がある。
このように、電気と磁気は似たような性質があり、電気と磁気の間にはなんらかの関係があるのではないかと言われていた。また、フランクリンの凧あげ実験では、雷の放電が磁石の極性を反転させているという記録が残されていた。
しかし、電気と磁気の関係を示す決定的な証拠は長い間みつからないままであった。
そんななか、1820年にエルステッドによって大発見がなされた。
それは、電線に電流を流すと、電線の周りに置いた方位磁針が動くというものであった。電流の周りには円状に磁極を動かす力(磁場)ができているのである。
電気力や磁気力の場合は、力は引力か斥力であったが、この電流と磁石の間の力の場合は、磁極は電流に近づきも遠ざかりもしない方向に力を受けるのである。
このことがこの発見を遅らせた一因であると言われている。この発見の情報はその重要性から、当時の科学界に瞬く間に広がった。