親子理科実験教室100回の実績(ブログ その137)
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作成日 2018年1月24日(水曜)17:13
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作者: 坂東昌子
みなさま。
新年のご挨拶をかねて、いろいろと思いをまた書かせていただきます。今回は親子理科実験教室のことをご紹介させていただきます。
このあいんしゅたいんが、親子理科実験教室を始めたのは2010年2月11日でした。
きっかけは、2010年のシンポジウム「科学としての科学教育」(基礎物理学研究所研究会)で、東京理科大学の理科教育では有名な川村先生が、「このシンポジウムと一緒に、親子理科実験教室を開催しませんか」と持ちかられたのです。
あいんしゅたいんは科学普及も目的にしていますので、それでは!ということで試しに実験教室を開催したのです。
この時、理学部長だった吉川研一理学研究科長も、科学の面白さを子供たちにという私どもの目標に意気投合してくださり、お話をしていただきました。
その際、ニュートリノで有名な理学部物理教室の中家剛教授なども参加されていて、親子理科実験教室について、「セミナーハウスが間もなくできる。そこを使えばいい理科実験教室が開けるのでは」というような話になり、理学部に提案することになったわけです。
そして、「学生や大学院生のコミュニケーション訓練の場」としても位置付け、実験助手として派遣し支援するという話になりました。この年は、親子理科実験教室は、2010年度は、計11回、2011年度は京13回、2012年度は計13回と恒例行事となって続いてきました。
2016年までに行った理科実験教室は、ホームページに一覧表がありますのでご覧ください。
1回の受講者数は約40名、東は東京から、西は九州からも熱心に参加される方も出てきて、「何でも質問できる場」「お兄さんやお姉さんに教えてもらえる場」として、科学普及と、若手研究者のコミュニケーション能力を高めるという2つの目的を果たしながら、大変楽しい場としてこれまで続けることができました。
学生や大学院生は、教室に参加する両親の科学的好奇心にも応え、科学普及員として活動する力をつけて、中には幾人か学校教員に就職したり、科学教育の企業に就職したり、あるいは新聞記者になったりと多彩な人材が育っています。
学校教育ではない場での自由な発想と、実験を中心にした考える場を与えられた子供たちの様子にも、「書くことが嫌いだった子供が上手に報告できるようになって学校で褒められた」というお母さんの声なども寄せられ、いろいろなコンテストで賞をもらった子供さんからのお便りもたくさん届きました。その様子は、折々にブログで書いていますのでご覧ください。
しかし、理学部も社会連携室ができ、これまで続いていた共催の企画もできなくなりました。社会貢献を推奨する風潮も相まって、今ではいろいろな団体が主催してたくさんの実験教室が開催されています。その中続けている状況になっています。
それに、もう一つ、当初の私たちは「科学好きの子供」を目指していたのですが、そのためには、乗り越えるべき目標がありました。
そもそも、「理科好きから真の科学好きに」というのが、そもそも2011年からの目標でした。そのために乗り超えるべきことがあるのではないか、それが、今私たちのやるべきことではないか、そういう思いがだんだん強くなってきました。
現状では、せっかく好奇心で目を輝かせていた子供たちが、成長するにつれて理科嫌いになるのです。
なぜか。それは、実験は好きでも、数理的な考え方の訓練をする場は少ないのです。この壁を突破するには、見たものをしっかり数量でとらえるということが必要なのではないか。そういう教室がまだまだ少ないなと思うようになりました。
実験教室などの普及で理科好きになった子どもたちを真の科学好きへの段階に導くこと、それが私たちにできることではないかなと考え始めています。「分数のわからない大学生」(西村和雄著)がショックを与えたのもここらあたりに原因があると思われます。
そこで、親子理科実験教室の枠を広げ、数理的な訓練をする場も取り入れよう、そういう意図で「おもしろ算数塾」をはじめたのです。
また、当あいんしゅたいんでは、「ゆりかもめ」計画で、これまで熱心に通っていただいた卒業生を中心に、「放射線を測る」というプログラムもJSTの企画で始めております。
自ら測るということは、いつも数量を頭においてモノを見る目を養う訓練にもなります。というわけで、広がりを見せ始めたところで、親子理科実験教室は、実験を主に行う教室は不定期開催となりました。
この事情は、親子理科実験教室のページでもお知らせいたしました。算数というとちょっと嫌がる子どもさんもあるかと思いますが「おもしろ」とついているように実験も含めた面白い講座にしようと若い人たちが中心に準備を進めています。
なお、親子理科実験教室100回を記念して、「これからの教育を考える」というサロンを開きました。
ここには、親子理科実験教室にご参加いただいた親御さんたちも出席されました。また、そこではずっと参加いただいた保護者のお一人である宮岡さんにもコメントをいただき、活発な議論ができました。 この会に出ておられた方の感想文にも面白いことが書いてあります。