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「核種のどれが安定でどれが不安定か、わかりますか?」 |
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「ヨウ素の原子核の核種(同位元素)の表を見てください。この表には、いろいろな種類のヨウ素の性質がまとめられています。例えば、ここに『半減期』って書いてあるでしょ?これは、この核種がある物質にたくさん含まれているとき、どれくらいの期間に半分に減るかという時間のことです。 |
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<ヨウ素の同位元素一覧(出典:Wikipedia)>
同位体核種 |
Z(p) |
N(n) |
同位体質量 (u) |
半減期 |
核スピン数 |
天然存在比 |
天然存在比 (範囲) |
励起エネルギー |
108I |
53 |
55 |
107.94348(39)# |
36(6) ms |
(1)# |
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109I |
53 |
56 |
108.93815(11) |
103(5) µs |
(5/2+) |
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110I |
53 |
57 |
109.93524(33)# |
650(20) ms |
1+# |
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111I |
53 |
58 |
110.93028(32)# |
2.5(2) s |
(5/2+)# |
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112I |
53 |
59 |
111.92797(23)# |
3.42(11) s |
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113I |
53 |
60 |
112.92364(6) |
6.6(2) s |
5/2+# |
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114I |
53 |
61 |
113.92185(32)# |
2.1(2) s |
1+ |
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114mI |
265.9(5) keV |
6.2(5) s |
(7) |
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115I |
53 |
62 |
114.91805(3) |
1.3(2) min |
(5/2+)# |
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116I |
53 |
63 |
115.91681(10) |
2.91(15) s |
1+ |
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116mI |
400(50)# keV |
3.27(16) µs |
(7-) |
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117I |
53 |
64 |
116.91365(3) |
2.22(4) min |
(5/2)+ |
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118I |
53 |
65 |
117.913074(21) |
13.7(5) min |
2- |
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118mI |
190.1(10) keV |
8.5(5) min |
(7-) |
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119I |
53 |
66 |
118.91007(3) |
19.1(4) min |
5/2+ |
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120I |
53 |
67 |
119.910048(19) |
81.6(2) min |
2- |
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120m1I |
72.61(9) keV |
228(15) ns |
(1+,2+,3+) |
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120m2I |
320(15) keV |
53(4) min |
(7-) |
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121I |
53 |
68 |
120.907367(11) |
2.12(1) h |
5/2+ |
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121mI |
2376.9(4) keV |
9.0(15) µs |
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122I |
53 |
69 |
121.907589(6) |
3.63(6) min |
1+ |
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123I |
53 |
70 |
122.905589(4) |
13.2235(19) h |
5/2+ |
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124I |
53 |
71 |
123.9062099(25) |
4.1760(3) d |
2- |
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125I |
53 |
72 |
124.9046302(16) |
59.400(10) d |
5/2+ |
|
|
126I |
53 |
73 |
125.905624(4) |
12.93(5) d |
2- |
|
|
127I |
53 |
74 |
126.904473(4) |
STABLE |
5/2+ |
1.0000 |
|
128I |
53 |
75 |
127.905809(4) |
24.99(2) min |
1+ |
|
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128m1I |
137.850(4) keV |
845(20) ns |
4- |
|
|
128m2I |
167.367(5) keV |
175(15) ns |
(6)- |
|
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129I |
53 |
76 |
128.904988(3) |
1.57(4)E+7 y |
7/2+ |
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130I |
53 |
77 |
129.906674(3) |
12.36(1) h |
5+ |
|
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130m1I |
39.9525(13) keV |
8.84(6) min |
2+ |
|
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130m2I |
69.5865(7) keV |
133(7) ns |
(6)- |
|
|
130m3I |
82.3960(19) keV |
315(15) ns |
- |
|
|
130m4I |
85.1099(10) keV |
254(4) ns |
(6)- |
|
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131I |
53 |
78 |
130.9061246(12) |
8.02070(11) d |
7/2+ |
|
|
132I |
53 |
79 |
131.907997(6) |
2.295(13) h |
4+ |
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132mI |
104(12) keV |
1.387(15) h |
(8-) |
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133I |
53 |
80 |
132.907797(5) |
20.8(1) h |
7/2+ |
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133m1I |
1634.174(17) keV |
9(2) s |
(19/2-) |
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133m2I |
1729.160(17) keV |
~170 ns |
(15/2-) |
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134I |
53 |
81 |
133.909744(9) |
52.5(2) min |
(4)+ |
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134mI |
316.49(22) keV |
3.52(4) min |
(8)- |
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135I |
53 |
82 |
134.910048(8) |
6.57(2) h |
7/2+ |
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136I |
53 |
83 |
135.91465(5) |
83.4(10) s |
(1-) |
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136mI |
650(120) keV |
46.9(10) s |
(6-) |
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137I |
53 |
84 |
136.917871(30) |
24.13(12) s |
(7/2+) |
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138I |
53 |
85 |
137.92235(9) |
6.23(3) s |
(2-) |
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139I |
53 |
86 |
138.92610(3) |
2.282(10) s |
7/2+# |
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140I |
53 |
|
139.93100(21)# |
860(40) ms |
(3)(-#) |
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141I |
53 |
88 |
140.93503(21)# |
430(20) ms |
7/2+# |
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142I |
53 |
|
141.94018(43)# |
~200 ms |
2-# |
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|
143I |
53 |
90 |
142.94456(43)# |
100# ms [>300 ns] |
7/2+# |
|
|
144I |
53 |
91 |
143.94999(54)# |
50# ms [>300 ns] |
1-# |
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「ちょっと待ってください。例えば、ヨウ素131を考えてみます。これは、半減期が8日ですね。もし今、ある物質の中に、最初1万個のヨウ素131があったとします。そして次々と放射線を出して変身していくとします。放射線を出したヨウ素131は安定な他の核種に変身するってことですね。」 |
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「そうです。核種が不安定なほど、早く次々に変身していって、いつか5000個、つまり半分になります。この半分になるのにかかる時間を半減期というのです。」 |
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「そうすると、ヨウ素131の場合は、8日で5000個になるってことですね?」 |
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「そうです。そして、さらに8日たつと?」 |
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「また、その半分の数になるというわけですか?」 |
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「そうそう。だから16日たつと2500個、24日たつと1250、32日たつと625、40日では312、48日では156、56日では78個、とどんどん少なくなるのよ。80日もたつと1000分の1になるのよ!」 |
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「ちょっと待ってください。ヨウ素108は単位がms、ヨウ素109は単位がμsで書いてあります。この違いは?」 |
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「msはミリセカンド。これは1000分の1秒のことだし、μsはマイクロセカンドで1000000分の1秒のことだから、ヨウ素108もヨウ素109も1秒もたたないうちに、ほとんどなくなってしまいます。すぐ放射線を出して他の安定家族である核種に変わるのよ。そうすると、生まれたての不安定な核種が少なくなって、時間がたつと、結局最後には、放射線を出さない核種ばかりになるのです。」 |
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「ということは放射性物質でなくなるということですか?」 |
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「はい、そうですよ。みんな大人しいエネルギーを出さない物質になってしまうわけです。」 |
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「へえ、じゃあ、例えばある核種、例えば、ヨウ素131が生まれてから、時間がたっていくに従って、不安定なヨウ素131の数はどんどん減っていくので、核種の割合を調べれば、生まれたての時の核種の割合と、時間がたった今では、核種の割合が違ってくるのですね。生まれたばかりって、宇宙の始まりの頃とか地球ができた時とか、そういう時代のことですか?」 |
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「もちろん、そういうのもあります。例えば、21億年前には、この地球には、大変不安定なウラン235が沢山あって、今の原子炉より濃度の濃い濃縮ウランが沢山あったはず、だから天然の原子炉があったということになります。これを指摘したのが黒田和雄博士です。 |
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(オクロの天然原子炉) |
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「へえ?そうなのですか?安定なウランは表を見ると、ウラン238で、今の割合は99.285%とかいてあります。それに比べてウラン235は、0.72%ですか。へえ、昔はこの割合が違っていたのか。」 |
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「黒田博士はなかなかの人でしょ?こうして見たこともない、昔の状態を推定できるわけですよ。ウラン鉱のあるところでは、青白い光がぼーっぼーっとあちこちに揺らめいていたらしいですよ。」 |
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「爆発しなかったのですか?」 |
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「いや、そばに水があるところが多かったから、水で冷やされていたんだって。今も冷やすのが大変だけど・・・。」 |
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「どうして水がそばにあるのですか?」 |
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「あ、それはね。ウラン235に中性子が当たって、核分裂を起こすの。そこからまた、中性子が飛び出すから、その中性子がマタウラン235に当たって核分裂を起こさせるのよ。次々核分裂が起きると燃え続けるわけね。これを連鎖反応というのだけど・・ちょうど将棋倒しみたいにね。ただ、この中性子がすごく高速なので、核分裂した時に出てくる中性子のままだと・・・」 |
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「あ、それって、中性子線ですか?放射線ですね?」 |
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「そうそう、そういうこと。ちゃんと放射線を理解しているじゃない。さてと、この高速の中性子、このままでは、次のウラン235が近くにあっても、それを横目に見てすっ飛んで行く確率が大きくなって、うまく核分裂を起こさないの。それで、ぶっ飛んでいる中性子を邪魔しているのが水分子よ。水がぶち当たって中性子がだんだん遅くなるのよ。まあ水がエネルギーを吸い取っているのね。実はこの吸い取った水が高温になって、水蒸気を出すのを利用して、その蒸気でタービンを回し、電気エネルギーに変えているわけよ。」 |
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「なんだ!水は冷やしているだけではないのか。うまく働くと、暴れている中性子のエネルギーを吸い取って電気エネルギーを作っているのか。水は冷やすのが役目かと思っていた!」 |
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「そう、今は水、水、といって冷やすのが役割みたいに言ってるけど、本来はこの熱くなったミスのエネルギーをうまく取り出しているのよね。だから、中性子の速度を落としているのが周りの水なのよ。水がないと連鎖反応がうまく起こらないの。」 |
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「そうですか。痛しかゆしですね。冷やしているのも水、核分裂を起こして温度を上げているのも水なのですね?」 |
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「原子炉がゆっくりとエネルギーを出してくれて、それをうまく取り出せば電気エネルギーを取り出せるのよ。だからウラン235に当たる中性子の増殖率がちょうど1だとゆっくりエネルギーが取り出せるけど、1より小さいと火が消えてしまうのです。でも、増殖率が大きすぎると一挙に核分裂が起こって爆発するのね。」 |
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「わー、大変なんですね。微妙に調整しないといけないのか!でも、そんなこと当たり前か。だって、石炭や石油を燃やすときでも、爆発しないようにゆっくりと燃やして、電気に変えているのですよね、原子炉だからよけいややこしいのかなあ。」 |
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「もちろん、ちゃんとその防御法も考えてあります。暴走した時には、中性子を吸収するために制御棒が自動的に入るようになっているのです。でも、それでも足りないと、中性子を吸収するホウ酸を使うのですね。だから、ホウ酸を使っていると聞くと、やっぱり危ないのだな、とひやひやします。いったん暴走すると大変ですからね。火力発電とは規模が違いますからね。横道にそれたけど、要するに、原子炉の中で何が起こりそうか、予測できるはずですから、そこからどのような放射線が出てくるか、どんな核種が出てくるか、ということを知る必要があるのです。半減期というものを知っていると、いろいろと情報が豊富になるのですよ。」 |