宮武君と宮岡ちゃん頑張ったね! うれしいお知らせ2つ(ブログ その107)
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2013年8月09日(金曜)15:56に公開
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作者: 坂東昌子
なんと、この二人、親子理科実験教室の生徒さん達です。宮武君は金沢から、そして宮岡さんは福岡からの参加でした。
今日は、宮岡玲奈ちゃんのことからお話ししましょう。
宮岡玲奈ちゃんのチャレンジ
宮岡玲奈ちゃんは、物理チャレンジ2013の課題「温度計を作ってみよう」に挑戦しました。
簡単に実験でき、工夫が凝らしたレポートがたくさん集まったそうです。その数、なんと1180通だったとか。もちろん、ほとんどは高校生のものですが、そのうち中学生は25通、そしてなんと、小学生は1通だったそうですから、宮岡玲奈ちゃんだけが挑戦したことになります。
講評によると、「特別にすばらしいレポートを提出した小学生を実験奨励賞として表彰することになりました。」と書いてあります。高校生の皆さんに混じって小学生で奨励賞をもらったと聞いたときは、とてもうれしかったのですが、にわかには信じられませんでした。
というのは、物理チャレンジは高校生がたくさん応募していたのです。ときどき中学生で参加する場合もありましたが、小学生が参加するとは思ってもいなかったからです。びっくりしました。
でも、考えてみれば、玲奈ちゃんのチャレンジは、もう3年も前に始まっていたのです。
彼女が九州からわざわざ、毎月この親子理科実験教室に参加するために日曜日にやって来られたのは、もう3年前になります。当時、親子理科実験教室を始めた頃でしたが、まさか九州から来られるとは予想をしていなかったので、とてもうれしかったことを覚えています。
彼女は、あふれるばかりの好奇心の持ち主で、宇宙のこと、原子のこと、いろいろと知りたいという気持ちがあふれていました。教室が終わると、沢山の質問をこの時とばかりに質問しに来ました。
講師の先生だった、松林先生、杉原先生、山下先生にはもちろんのこと、宇宙専門の松田副理事長にも、素粒子専門の私にも質問をぶっつけました。
玲奈ちゃんには、教室の雰囲気は天国にいるようだと言っていました。なぜって、何を質問しても、「馬鹿な質問だなあ」とうるさがられるどころが、喜んで答えてくれるところだったからです。しかも、実験教室が終わると後片付けも一緒にやってくれるのです。
「ここでは、どんな質問をしてもいいので、うれしい」
それが彼女の口癖でした。それが楽しみで1か月に一度の実験教室が待ち遠しくて、いそいそと出かけるのだと、お母さんは話しておられました。
科学普及員研修会(JEINET)にチャレンジ
親子理科実験教室の生徒である子どもたちだけでなく、ついてこられるお父さんやお母さんも、実はとても科学好きが多いことはすぐに気がつきました。
少し先の話をすると、一生懸命メモを取って、後で質問に来られるのです。単に子供に付き合っているというより、自分も楽しんでおられる姿に、「科学の好きな大人たち」のイメージが膨らみました。
「皆さんが教える側になって下さったら、とても心強いなあ」
という思い始めた頃、幸運にも、科学技術振興機構(JST)の科学コミュニケーションの企画に応募した企画が採択されました。理科実験コース と科学のウソ突破コースでした。
そこで、科学普及員研修会(JEINET)を立ち上げ、皆さんに呼びかけました。その中のお一人が宮岡恵美子さんでした。この研修会の詳しい様子は、この時中心になって取り組んで下さった廣田誠子さんのレポートを読んで下さい。
その夏の連続研修会には、お父さんやお母さんにくっついてきて、後ろで聞いている子どもたちの姿がありました。人数は比較的少なかったので、子どもたちも一緒に受けたい人は自由に受けることができました。
玲奈ちゃんを含んで他にも一緒に勉強した子ども達がいましたが、一緒に受けた授業はとても楽しかったようです。なかでも、九州からわざわざやってきた玲奈ちゃんは、ほとんどみんな出席しました。
研修会では、授業に出るだけでなく、その後レポートを出し、成果を発表して、初めて認定書が授与できます。
審査は大学の試験より丁寧で、理学会京都支部とあいんしゅたいんのメンバーから構成された審査委員(委員長:佐藤文隆)の前で発表し、質問に答え、審査員の評価を受けて4つのグレードをつけてもらいます。もちろん、どのグレードにも達しなければ落第します。研修会に出席しただけでは、修了認定書はもらえません。
ただ、再挑戦することはできるので、「終了した」ことはプレゼンをする機会を得たということですね。結構厳しい点が付けられました。
玲奈ちゃんは、この時「光の話」というのをまとめて発表しました。
パワーポイントの使い方から訓練して、何度もプレゼンの練習をしました。廣田さんが丁寧に指導したので、パワーポイントを作る腕も上がりました。
光の話については、夏の研修会で、杉原先生と特別講師として協力いただいた石川隆先生(東大理学部)が、とても丁寧に指導されました。光の屈折を利用して色を分けるという実験でした。使ったのは、杉原先生がご指導された「光学万華鏡」の発展版でした。太陽光、電燈、大文字の送り火など、いろいろな光源うぃつかうと、光のスペクトルが光源によって違うので、万華鏡もさまざまな色と形を見せてくれます。それが面白かったのだと思います。パワーポイントの使い方から訓練して、何度もプレゼンの練習をしました。廣田さんが丁寧に指導したので、パワーポイントを作る腕も上がりました。
研修会の受講資格は、はじめは中学生以上ときめていたのですが、これだけ熱心に勉強し発表しようとしている玲奈ちゃんに感銘を受けて、ジュニア認定書を出すことにしたのです。そして見事なプレゼンで、皆さんの評価が一致しました。
玲奈ちゃんは、見事ジュニアプロフェッサー認定書を獲得したのです。
ですから、このとき既に科学の賞をもらっていたのですが、もちろん当あいんしゅたいんの「名もなく貧しく美しい」賞ですから、まだまだ世に知られていません。
しかし、この認定書には、1人ずつ、丁寧に佐藤文隆委員長の言葉が記されています。玲奈ちゃんの認定書には
「この研修をきっかけに、芽生えたサイエンスへの関心をさらに深く広く掘り下げて、豊かなじぶんの生きかたにつなげていかれることを期待します。」
と書かれています!
玲奈ちゃんの認定書を持った写真をご覧ください。
この世に1つしかない佐藤さんの言葉です。そのうちに、JEINT認定書がとても価値あるものになるかもしれませんね。
少なくとも、評価している人たちは、大学で博士号認定に関わってきた人を含めて、結構な権威を持っていますから。
もう一人、ジュニアアドバイザーをもらった長谷川真優さんは中学生ですが、彼女は宇宙飛行士を目指して、天文試験に挑戦して中学生なのに合格したそうです。
素晴らしい子供たちがここで生まれていることに、とても心が豊かになり、そして、いつか本気でこの子供たちと対等な議論できる日を楽しみにしています。
とはいえ、それまで生きているかな?大丈夫だよね?