2024年10月10日

第24回:「いろんな意見を聞くこと」by 前

昨日(9/13)はJEINのメンバーで科学番組作りについての打ち合わせがありました。場所は甲南大学の佐藤さんの研究室です。(そのときになんと・・・南部さんが佐藤さんを訪れた時に白板に書かれた式を見させていただきました!(写真参照)南部さんのご性格が少し想像できる貴重な機会でした。)
打ち合わせではいろんな意見・アイデアが出ました。やはりこういうのはとても楽しいですね。いろんな人とつながっていける力があることが科学の大きな魅力のひとつだと思います。

「いろんな意見を聞く」ということに関連して、話は半年ほど前に行った米国での経験に飛びます。

AAPT(American Association of Physics Teachers)の大会では、学生間や学生教師間でいろんな意見を聞き、対話を通して各自の「make sense」に至るということがとても重要視されていました。
それを促す情報機器、実験、モデルテキストなどの開発の話や、それらを体験するworkshopなどがありました。
(日本の教育現場での実験器具等は旧態依然ということを聞きますが、ホームセンターなどで手軽に何でも手に入る環境、技術の進歩などからして、授業支援機器の開発は大きく伸ばせるところですね)

Maryland大学では入門物理の授業を見学しました。そこでは物理学科の中にある物理教育研究室(米国には物理教育研究のドクターコースがあり、この訪問ではその博士課程の友人に大変お世話になりました)の教員が、1科目が週3回50分の講義、週1回の演習60分と実験120分で構成される授業をTeaching Assistantとの連携のもとに行い、(院生はTAとResearch Assistantの仕事で生活費がまかなえるとのこと)対話を重視して「make sense」へ導く教育が体現されていました。
活気がある授業でほぼ全ての学生が授業に積極的に参加している様子がとても印象的でした。

私は大学で週4、5コマぐらい入門物理の授業を5年ぐらいやっているのですが、米国から日本に帰って、本年度前期の授業では、上記の影響から、学生に向かい合う姿勢が変わりました。
それは、「学生と一緒に授業を進めていく」、「学生と考えをすり合わせていく」、といった意識が強くなったことです。
教育内容と共にこういった教育方法に関わることもまだまだ発展させることができそうです。
(最近、友人と話していて「科学教育は教育に含まれるものであり、教育はコミュニケーションに含まれるものである」ということが話題になりました。とても自然なことはとても大事なことだと思います)