世界征服計画 その25
25. 猫の爪の成功
猫の爪の成功は最初は密やかなものであった。しかし2年目になると、関西科学研究所の文殊菩薩システムは、全世界の科学者の知るところとなった。世界中からポスドク希望が殺到した。またシステムを使う為に諸外国の研究者は争って、関西科学研究所に長期、短期の滞在を希望した。僕は予算の許す限り、それらの要望に応えた。また費用を全部こちらがもって国際会議を京阪奈だけでなく、大阪、京都、神戸などで開催した。
世界征服計画 その24
24. 関西科学財団と関西科学研究所
さてマーキュリーは証券会社をデッチ上げて、先物取引と株取引、FXなどに乗り出し、取引を始めた。もともとマーキュリーはギリシャ神話では泥棒の守り神である。だから狡猾なのである。マーキュリーは日本と世界の投機筋を相手に大儲けを始めた。僕は関西科学財団というものをデッチ上げて、その理事長に収まった。そして関西科学研究所(KKK)を作り始めた。さらに本来の目的であるポスドク集めにかかった。
世界征服計画 その23
23. 要塞住宅
夢のような1年間はあっという間に過ぎた。僕は1年がすぎて、現実世界に戻ったが、何か浦島太郎の心境である。しかし浦島とは違って、現実世界ではたった1日しか経過していないのである。その1日で僕は大きく変わった。肉体的にはほとんど変化がないが、精神的には大きく成長したのだ。知識が山のようについた。だから周りの人を見ると、バカに見えてしかたがない。
世界征服計画 その22
22. 精神と時の部屋に入り30年間特訓する
ビーナスは言った。
「森君に対するレクチャーはこれくらいにして、いよいよ活動に取り掛かりましょう。森君は一度、現実世界に戻りましょう」
僕はこの仮想のオリンポス山が結構気に入っていたので、現実世界に帰されると聞いて、少しがっかりした。浦島太郎は乙姫様と楽しく暮らしていたが、家に帰りたくなったのが運の尽きであった。この世界はビーナスやアテナという乙姫様がいるので、僕は帰りたく無かった。
世界征服計画 その21
21. ガンと免疫の戦い
アテナは鎧甲を脱いだ。僕をからかう冗談だったのだろう。ふたたび輝くほど美しい女神が現れた。でも言うことは辛辣だ。
「それだから物理学者はシンプルトン、単純人間というのですよ。生物はあなたのような物理学者が理解できるほどシンプルなものではありません。生き残ったガン細胞は、免疫細胞によって処理されます」
世界征服計画 その20
20. 活性酸素の害
僕とアテナの果てしない言い合いにビーナスが割って入った。
「まあまあ、御用学者論争は本質から外れています。本論に戻しましょう。低線量放射線は危険でないという、アテナの科学文献の調査・検索による結論についての話を聞きましょう」