あいんしゅたいんアピール:ホールボディ検査・検診車の関西への早期派遣要望書
これまで、京大総長への要望書「東京電力福島第一原発事故による避難者の医療に係わる協力のお願い」、並びに京都府災害対策本部へ「(株) 東京電力福島第一原発事故による避難者の医療に係わる協力依頼」を提出しましたが、2013年2月7日、福島県地域医療課 被災者支援課に対して、要望書「ホールボディ検査検診車の関西への早期派遣を実現して下さい」を提出いたしました。
福島県地域医療課、被災者支援課 御中
要望事項:ホールボディ検査検診車の関西への早期派遣を実現して下さい |
受診者の満足度の高いホールボディ(WBC)検査モデルになりうる理由
WBC検査に独自で取り組んだ経験:2012年は、あいんしゅたいん主催で京都大学及び関西電力の協力を得て2回のホールボディ検査を行った。その結果、以下を確認した。
● 学習会とセットでホールボディ検査を行えたことの受診者の満足度は高い。 ● 京大でも関電でも、スペクトルも含め検査結果を得る為には10分検査となり、1日20人が限界である。福島のWBC検診車の関西への派遣実現は、効率面からもデータの安定性からも一番望ましい。 ● WBC検査車の受け入れ体制は、関西一円に呼びかけるネットワークができている。 ● 受入態勢:すでに実績のある京都大学等に場所確保を依頼できる可能性が高い。
以上の経験をふまえ、福島からのWBC車での検査が極めて有効であると判断するに至った理由は、以下のようである。
● 京都大学や関電のWBCは、事業従事者や研究用のものであり、微量のセシウムを検定するには適していない(それでも、検査することで得られた安心感は大きかった)。 ● 県外避難者は福島に知人も多く、同じ機種で同じ様式で結果報告することで比較対照も可能であり、県内と県外とのネットワークが広がる。 ● 福島の測定機種は優れており、既に綿密な校正がなされている。同じ基準で全国的な標準化を行うことは、今後の放射線防護に貴重な前進になる。 ● バックグランドの異なる各地のデータの正確な把握は、今後の危機管理体制の確立や放射線防護に重要な情報を提供する。
関西の福島避難支援ネットワークの現状
● 京都大学原子炉実験所での検査では、京都を中心に、さらに大阪・神戸のリーダー(特に遠藤氏:福島支援センター)が参加した。 ● 関電での検査では、大津・長浜方面の子供連れの避難者が高野氏をリーダーに参加した。
以上のように、京都から出発したWBC検査の取り組みは、関西の主だった福島支援組織とのネットワークへと広がっている。
WBC学習会とセットにした検診の意義
あいんしゅたいんは、WBC検査を切望する避難者の要望から出発しつつ、避難者と市民と科学者が共に学習することを重視した。WBC検査で、何がどのようにわかるのか、結果をどう見るのか、避難者が検査結果を自ら正確に理解しできることを目標にして学習会を重ねてきた。また、原子炉実験所でも、関電美浜原子力発電所でも、先方に説明をお願いし、結果を共に検討することによって理解を深めた。 この目標は、概ね中心的なメンバーでは達成されており、参加者の理解は高いレベルに達している。WBCの検査や放射線への理解に加え、自らの力で説明できる力量を養ったことで、お正月休みに故郷に帰った方々の中には、福島の知人に説明する役割まで果たしている。関西では少人数でもあり勉強し、じっくり説明をきけたこと、自ら理解したことで、検査の満足度は非常に高かった。 福島での検査は、関西の検査より精度が高いので、以上の経験を踏まえた取り組みが進めば、低線量放射線がもたらす様々な困難を克服しようとする被災者自身の未来が開けてくると確信する。 このような成長を遂げた方々は、今後、勉強会や検査結果の説明等のピアエデュケーターとして学習会のフォローに当たる役割を受け持てると確信する。あいんしゅたいんは、さらに、レベルの高い勉強会で学んだ方々のグレイドを上げ、今後のWBC車での検査にあたって、「説明員」として活躍していく道を拓こうと更なる学習会を企画している。現在、福島支援事業の資金を得て、「WBC検査の検査結果をしっかり理解する為に」必要な知識説明をパンフレットを作成中である。これと連動して放射線集中研修会を実施し、さらにネットワークを広げる計画を立てている。
私たちの思い
私たちは、全力を挙げて、検査を受けた被験者の検査への理解と安心を得る先駆けモデル形成と、学習会とセットにした受け入れ体制を準備いたします。WBC検査車派遣の予定がきまれば、学習者の意欲はさらに高まるでしょう。これは、福島復興に大きく貢献することを、私どもは確信しています。どうか、この計画を実現していただきますようお願いいたします。
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NPO法人 あいんしゅたいん 理事長 坂東昌子 常務理事 宇野賀津子
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