世界征服計画 その31
31. 漂流艦隊
米帝の第3艦隊と第7艦隊の一部は、太平洋の中央で漂流を始めた。そこには2万人を超すアメリカ海軍の将兵が乗艦しているのである。その事実は隠すわけにも、ごまかすわけにも行かなかった。しかしなぜ漂流したのかは、米帝の海軍当局にとっても謎であった。船隊大和に関係するステルス潜水艦のせいであろうというのが、当局内部でのもっとも有力な説であった。しかし外部に対して、米帝が船隊大和を攻撃しようとしたことは伏せられていた。核攻撃計画などは、当然のこととして強く否定された。しかし船隊大和側は、米帝の艦隊による攻撃計画を暴露した。
世界征服計画 その30
30. 第2次太平洋戦争
オババ皇帝の戦争宣言は、即座にオリンポス山の神々の知るところとなった。そしていつものように、ゼウス、ビーナス、アテナ、マーズ、ポセイドンの会合が始まった。マーズがうれしそうに口火を切った。
「オババは戦争開始と言いくさったな。戦争ならワイの領分や、まかしといてんか」
世界征服計画 その29
29. SEALs襲撃
CIAのエージェントによる森君襲撃が失敗したことで、ブラックハウスでは再度、首脳会議がもたれた。今回はオババ皇帝、ペイン副皇帝、クリキントン国務長官、バッタ国防長官で女性ばかりである。新しいCIA長官としてはナポリタン女史が任命されたが、今回は会議から外された。まずはオババ皇帝が、ケーツ前CIA長官の失敗に対して怒り心頭に発して、テキサス弁丸出しでまくし立てた。
世界征服計画 その28
28. エージェント襲撃
2025年某月某日、米帝CIA長官であるケーツは、ヒューストンにあるCIA本部の執務室に、腕利きのエージェントであるスミスたち3人を呼んだ。スミス達はエージェントらしく、黒いスーツをきちっと着こなして、いずれもサングラスをかけていた。ケーツは口火を切った。
「スミス君、君に新しい任務だ。森某という奴を消せ」
世界征服計画 その27
27. ブラックハウス会議
2025年某月某日、ヒューストンのブラックハウスで米帝首脳部5人による、歴史的な秘密会議がもたれた。そこにはペイン副大統領、クリキントン国務長官、バッタ国防長官の他にCIA長官であるビューテーン・ケーツ(Butano Kates)氏も呼ばれた。ここでケーツ氏のみが男性で、後はすべて女性である。
まず米帝初代皇帝のオババ女帝が口火を切った。オババ皇帝は選挙で大方の予想を裏切って選ばれたのだ。
「ケーツ君、近年の日本とそれを中心とする状況について説明するように」
「はい、陛下。我々のCIAやその他の調査機関は、近頃の日本に於ける不穏な動きを注視してきました。まず関西科学研究所というところが、異常な発展を遂げて、日本中はおろか、世界各国から科学者を集めています。その科学的成果は目を見張るものがあります。その理由を、関西科学研究所を訪問したり、滞在したりした我が同胞から詳しく聴取しました。その結果分かったことは、文殊菩薩と呼ばれる非常に優秀な人工知能があり、それに接続すると研究者の知能が異常に増強されたことと同等になり、科学研究が非常に能率化されるそうです。その結果、論文数やパテント数は驚異的な上昇を示しています。これは第2次世界大戦以降、世界を知的に支配してきたアメリカにとって危機的な状況です。
世界征服計画 その26
26. 日米中EUの分裂
アメリカの分裂と米帝の成立
アメリカは政府の財政状況がきわめて悪化して、非常に混乱したものになった。それはブッシュ大統領によるイラク侵略、オバマ大統領によるアフガニスタン侵略などが、高くついたからである。リーマンショックもそれに輪をかけた。そのため、アメリカ政府の債務は膨大な額になった。そこに現れたのが茶会派である。彼らはアメリカ政府が財政破綻する方が良いという主張を打ち出し、共和党もそれに乗った。そしてついにアメリカはデフォルトを宣言し、アメリカ国債はクズ同様になった。そのため日本も中国も大きな損失を被った。中国はそのまえに少し売り抜けていたのだが、アメリカのポチである日本政府はそれができずに、100兆円以上の損失を被った。