2024年04月20日

 

2017年度第4回定期勉強会(サロン・ド・科学の探索 2017年第9回)報告

1.概 要

日  時:2017年10月29日(日) 15:00~18:00
場  所:NPO法人あいんしゅたいん事務所
話題提供:柿内秀樹(公益財団法人 環境科学技術研究所 環境影響研究部)
話  題: 「トリチウム水」をめぐる科学的社会的問題
当日資料:
参考資料:トリチウム水タスクフォース報告書について
      ● トリチウム水タスクフォース報告書
      ● 参考資料集
    経産省・汚染水対策タスクフォースの議事録等

2.参加者所感

市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワークによる2017年度第4回勉強会のテーマは「『トリチウム水』をめぐる科学的社会的問題」を取り上げました。福島第一原子力発電所事故の復旧プロセスの中にはいくつもの困難な課題が含まれていますが,その中のひとつが今回取り上げた「トリチウム水」の問題です。

事故を起こした原子炉で今も冷却のために使われている水と地下水等から入り込む水から,トリチウム以外の放射性物質をほぼ取り除いた水に含まれる放射性同位元素のトリチウムは,元素としては水の成分である水素であるために,除去することがきわめて困難です。一方で,トリチウムの害は放射性セシウムなどに比べてかなり低いということも事実です。ではどこかへ放出してしまえばいいのかというと,社会的な合意形成はまだできてないというのが現状です。特に漁業者が被ると予想されている風評被害の問題が大きく横たわっています。

問題を切り分けると,トリチウムに関する物理・化学・生理学的な特性を知ること,トリチウム水が発生し,貯蔵されている状況と処理手段等の工学的なバックグラウンドを理解すること,数十万トンにもなり,かつ増え続けているトリチウム水をどのように「処理」すればよいのかを技術的な側面と社会的な視点から考えていくこと,この3つになるかと思われます。

当学習会では,環境放射能の専門家で,経産省「トリチウム水タスクフォース」の委員を歴任された環境科学技術研究所の柿内秀樹氏をお招きして,この問題の多岐にわたる話をうかがうことができました。膨大なデータ・資料をもとに展開された講演は3時間を超える圧倒的なものでしたが,参加者の多くが問題のありかについて認識を深めたことと思います。

勉強会の内容は,スライド(当日資料:下記にリンクあり)でごらんください。枚数が多いですが,トリチウムについての基礎知識や現状を理解する上でたいへん役に立つまとめになっています。ご活用ください。

(オーガナイザー・小波秀雄)

 

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